118C056|第118回 歯科医師国家試験 過去問
73 歳の男性。咀嚼困難を主訴として来院した。3 年前に製作した上下顎全部床 義歯は安定しているが、食事の際に物が嚙みづらくなり、上顎前歯部人工歯の脱離 を繰り返していたという。初診時の咬頭嵌合位での顔面写真(別冊No. 19A)、下顎 安静位での顔面写真(別冊No. 19B)及び使用中の義歯の写真(別冊No. 19C)を別に 示す。 咀嚼困難の原因として考えられるのはどれか。2 つ選べ。

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正解: b・c
正答
b、c
この問題のポイント
全部床義歯が安定しているのに咀嚼しにくく、人工歯脱離を繰り返す場合は、人工歯の摩耗と顎位の変化を評価します。
解説
人工歯が長期間の使用で咬耗すると、咬頭傾斜と咬合接触が失われ、食物を粉砕する能力が低下します。また、咬合高径の低下や咬合面形態の変化により、下顎が前方へ偏位して咬合することがあります。
下顎前方偏位が生じると、前歯部に過大な接触や水平力が加わり、上顎前歯部人工歯の脱離を繰り返す原因になります。新義歯では適切な垂直的・水平的顎間関係を記録し、咬合面形態を再構成します。
症例問題の解き方
義歯の安定性、粘膜疼痛、人工歯の摩耗、咬合高径、下顎位、人工歯排列を分けて評価します。
画像の確認
実画像AとBを比べると咬頭嵌合位で下顔面高径が低下し、下顎が前方へ寄った側貌を示し、Cの義歯では臼歯咬合面が広く平坦に咬耗している。人工歯の咬耗とそれに伴う下顎前方偏位が、咀嚼困難と上顎前歯部人工歯への過大な力を説明するためb、cとなる。
選択肢の確認
a.口唇の過豊隆
誤り。口唇の過豊隆は審美性や口唇閉鎖に影響しますが、本症例の咀嚼困難と前歯部人工歯脱離の主要原因ではありません。
b.人工歯の咬耗
正しい。人工歯の咬耗により咬頭形態と咬合接触が失われ、食物粉砕能が低下します。
c.下顎の前方偏位
正しい。咬合高径低下や咬合面の摩耗に伴う下顎前方偏位は、咀嚼効率低下と前歯部への過大な力につながります。
d.床縁の形態不良
誤り。床縁形態不良は義歯の脱離や粘膜疼痛を生じますが、問題文では上下顎義歯は安定しているとされています。
e.臼歯部人工歯の水平的排列位置不良
誤り。臼歯部人工歯の水平的排列位置不良でも義歯動揺は起こり得ますが、設問で示される主要所見は人工歯咬耗と下顎前方偏位です。
覚えるポイント
- 人工歯咬耗は咀嚼能率と咬合高径を低下させます。
- 下顎前方偏位は前歯部人工歯へ過大な力を加えます。
- 義歯が安定していても咬合の不調和で咀嚼困難は生じます。