119A066|第119回 歯科医師国家試験 過去問
70 歳の女性。上顎義歯が脱離しやすいことを主訴として来院した。1 年前に上 顎前歯を抜歯し、義歯を修理したという。検査の結果、安静空隙量が6 mm であっ た。下顎左側臼歯部の義歯は使用していない。治療計画として、上顎は義歯修理、 下顎は治療用義歯にて治療を行い、その後に上下顎新義歯を製作することとした。 初診時の口腔内写真(別冊No. 21A)、使用中の義歯装着時の口腔内写真(別冊 No. 21B)及び使用中の義歯の写真(別冊No. 21C)を別に示す。 新義歯製作開始までの過程において、上顎義歯の修理で考慮すべきなのはどれ か。2 つ選べ。

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正解: a・e
正答
a、e
この問題のポイント
安静空隙量6 mmは咬合高径の低下を示唆します。新義歯前の治療では、水平的顎間関係を確認し、臼歯部咬合面を再形成して咬合高径を改善します。
解説
安静空隙は下顎安静位と咬頭嵌合位の垂直距離差です。一般的な範囲より大きい場合、義歯の咬耗や人工歯脱落、支持喪失などにより咬合高径が低下している可能性があります。
上顎義歯を修理し、下顎治療用義歯と組み合わせて適切な顎位を検証するため、水平的顎間関係を確認し、上顎臼歯部人工歯咬合面を再形成して咬合高径を挙上します。急激な変更を避け、適応を評価してから新義歯へ移行します。
症例問題の解き方
安静空隙量、旧義歯の咬耗・人工歯位置、下顎義歯の使用状況を整理し、維持だけでなく顎位の不調和を考えます。
画像の確認
実画像Aでは上顎が無歯顎で、Bの修理義歯は前歯部が緊密に接触する一方、臼歯部の支持と咬合が不均衡で、安静空隙6 mmから咬合高径の低下も分かる。新義歯前の治療段階では水平的顎間関係を確認し、咬合高径を挙上して上顎臼歯人工歯咬合面を再形成する必要がある。
選択肢の確認
a.水平的な顎間関係を確認する。
正しい。
咬合高径を変更する前に、中心位を含む水平的顎間関係を確認し、安定した再現性のある顎位を設定します。
b.リラインには軟質材料を用いる。
誤り。
軟質材料によるリラインは疼痛や粘膜調整が必要な場合に用いますが、本症例の中心課題である顎位・咬合高径の改善を直接行いません。
c.上下顎前歯部での咬合を緊密にする。
誤り。
前歯部を緊密に接触させると義歯を転覆させる力が生じやすく、前歯部接触を過度に強くしません。
d.上顎前歯人工歯の切縁を1/2 削除する。
誤り。
上顎前歯切縁を一律に1/2削除しても、低下した臼歯部咬合高径と安定を回復できません。
e.咬合高径を挙上して上顎臼歯部人工歯咬合面を再形成する。
正しい。
臼歯部人工歯咬合面を再形成して咬合高径を挙上し、治療用義歯とともに適切な垂直的顎間関係を検証します。
覚えるポイント
- 安静空隙量の増大は咬合高径低下を示唆します。
- 顎位の変更では水平的顎間関係も確認します。
- 治療用義歯で適応を確認してから最終義歯を製作します。