116B084第116回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科補綴学

80 歳の男性。下顎義歯の維持安定不良を主訴として来院した。診察の結果、下 顎義歯を再製作することとした。加熱重合レジンを用いて新義歯を製作したが、矢 印のような表面状態が観察された。下顎全部床義歯の写真(別冊No. 36A)と矢印 の部分を拡大した写真(別冊No. 36B)を別に示す。 矢印で示す状態に至った原因はどれか。2 つ選べ。

116B084の問題画像
2つ選択
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正解: d・e

正答

d、e

この問題のポイント

加熱重合レジンの表面多孔は、填入時期と加圧不足による空隙残存を考えます。

解説

写真の粗造な表面は、レジン内部・表面に生じた多孔性です。レジンが餅状期に達する前に填入すると、材料がべたついて均一な一塊にならず空気を巻き込みやすくなります。また、フラスクへの填入時に十分な試圧・加圧を行わないと、石膏型への適合が不十分となり空隙が残ります。適切な餅状期に一塊として填入し、試圧を繰り返して過不足を調整します。

ひっかけポイント
急速加熱によるモノマー沸騰は義歯床の厚い部分に内部気泡を生じます。一方、写真のような表面の粗造・空隙では、填入操作と加圧条件も重要です。

画像の確認

実画像では、下顎全部床義歯の左側後方床縁に広い白っぽい粗造面があり、拡大像では表面全体に微細な凹凸と小孔が多数みえる。局所的な研磨傷ではなくレジンの表面多孔を示す像なので、餅状期前の早期填入と填入時の加圧不足による空気・空隙の残存が原因として対応する。

選択肢の確認

a.70℃で徐々にフラスクを加熱した。
原因としては考えにくいです。
70℃で徐々に加熱することはモノマーの急激な沸騰を避ける適切な重合操作であり、原因とは考えにくいです。

b.レジンの粉と液の混和時に振動させた。
原因としては考えにくいです。
粉液混和時の適切な操作は粉末をモノマーで均一にぬらすために行います。設問の表面状態の主原因ではありません。

c.レジンを一塊としてフラスクに塡入した。
原因としては考えにくいです。
餅状レジンを一塊として填入することは、層間の境界や空気混入を防ぐ適切な方法です。

d.レジンが餅状になる前にフラスクに塡入した。
原因として考えられます。
餅状になる前の早期填入では材料が均一にまとまらず、空気やモノマーの偏在による多孔性を生じやすくなります。

e.フラスクへのレジン塡入時、十分に加圧しなかった。
原因として考えられます。
十分に加圧しないと石膏型へレジンが行き渡らず、空隙や粗造面が残ります。

覚えるポイント

  • 加熱重合レジンは餅状期に一塊として填入する。
  • 試圧と十分な加圧で空隙を防ぐ。
  • 急速加熱はモノマー沸騰による内部多孔の原因。

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