116B071第116回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科補綴学

49 歳の女性。下顎左側第一大臼歯のブラッシング時の出血と痛みを主訴として 来院した。4 か月前から自覚していたがそのままにしていたという。歯周基本治療 後の再評価の結果、プロービング深さが全周3 mm 以下となり、補綴処置を行うこ ととした。初診時の口腔内写真(別冊No. 28)を別に示す。 6 に行う補綴前処置で適切なのはどれか。1 つ選べ。

116B071の問題画像
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正解: c

正答

c

この問題のポイント

歯周基本治療後に炎症が収束していても、補綴予定歯の角化歯肉が不足する場合は、清掃性と辺縁歯肉の安定を確保する前処置を考えます。

解説

再評価時のプロービング深さは全周3 mm以下であり、深い歯周ポケットに対する外科処置が主目的ではありません。写真では、下顎左側第一大臼歯部の角化歯肉幅が狭く、口腔前庭も浅い状態が示されています。補綴装置の辺縁周囲を安定して清掃できる環境をつくるには、口蓋などから上皮付き移植片を採取する遊離歯肉移植術が適切です。これにより角化歯肉幅を増大し、前庭を拡張できます。

治療選択のポイント
再評価後の歯周外科では、残存ポケットへの処置なのか、歯肉退縮の根面被覆なのか、角化歯肉幅・口腔前庭の改善なのかを分けて考えます。

画像の確認

実画像では、下顎左側第一大臼歯予定部に金属製支台築造が露出し、その頰側歯肉は狭く、可動性粘膜との境界が歯頸部近くまで達して口腔前庭も浅い。深いポケットへの手術ではなく、補綴辺縁周囲の角化歯肉幅と前庭深さを確保する必要がある像なので、遊離歯肉移植術を選ぶ。

選択肢の確認

a.新付着術
この条件では最も適切ではありません。
新付着術は歯周ポケット内壁を除去して新付着を期待する術式で、深い残存ポケットがない本症例の主目的とは異なります。

b.フラップ手術
この条件では最も適切ではありません。
フラップ手術は歯根面や骨欠損へ到達してデブライドメントを行う術式です。全周3 mm以下まで改善した部位にまず選ぶ処置ではありません。

c.遊離歯肉移植術
正答。最も適切です。
遊離歯肉移植術は角化歯肉幅の増大と口腔前庭の拡張に有効で、補綴前の清掃性・歯肉安定性を改善します。

d.歯肉弁側方移動術
この条件では最も適切ではありません。
歯肉弁側方移動術は隣接部の角化歯肉を移動して限局性歯肉退縮を被覆する術式です。広い範囲の角化歯肉増大には適しません。

e.歯肉弁歯冠側移動術
この条件では最も適切ではありません。
歯肉弁歯冠側移動術は主として露出根面の被覆に用います。本症例で求められる角化歯肉幅と前庭の増大には遊離歯肉移植術が適します。

覚えるポイント

  • 角化歯肉幅の増大と前庭拡張には遊離歯肉移植術。
  • 根面被覆には歯肉弁歯冠側移動術や結合組織移植術を考える。
  • 歯周外科の選択は残存ポケット、骨欠損、退縮、角化歯肉幅を分けて判断する。

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