115D029|第115回 歯科医師国家試験 過去問
即時義歯装着患者が、装着後 4か月目に来院した。痛みはなく食事も問題なく行 えていたが、最近食事中にときどき義歯が脱離するという。顎堤粘膜に発赤や腫脹 は認められない。 適切な対応はどれか。 1つ選べ。
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正解: c
正答
c
この問題のポイント
即時義歯の装着後は、抜歯窩の治癒と顎堤吸収によって義歯床粘膜面の適合が変化します。数か月後に疼痛や炎症がなく、義歯が緩くなった場合はリラインを考えます。
解説
即時義歯は抜歯直後に装着するため、製作時点では抜歯後に生じる顎堤形態の変化を完全には予測できません。治癒過程で抜歯窩が再構築され、顎堤の体積が減少すると、義歯床と粘膜の間に隙間が生じます。その結果、維持・安定が低下して食事中に脱離しやすくなります。
本症例は装着後4か月で、疼痛、発赤、腫脹がなく、食事自体も可能です。床下粘膜の炎症や咬合障害よりも、治癒に伴う床適合の低下が考えやすいため、義歯床粘膜面へ材料を追加して適合を回復するリラインが適切です。
治療選択のポイント
「痛くないが緩い」「抜歯後数か月」「粘膜に炎症がない」という情報から、削合ではなく粘膜面への材料追加を選びます。
選択肢の確認
a.義歯新製
誤り。
義歯の設計や咬合に大きな問題がある場合は検討しますが、現義歯を問題なく使用でき、床適合の低下が中心なら、まずリラインで対応できます。
b.経過観察
誤り。
食事中の脱離という機能障害が生じています。顎堤吸収で生じた隙間は観察だけでは改善しません。
c.リライン
正しい。
義歯床粘膜面を裏装して、治癒後の顎堤形態に適合させ、維持と安定を回復します。
d.義歯床の削合調整
誤り。
疼痛部の過圧を除くときには行いますが、本症例では疼痛や発赤がありません。適合不良部をさらに削ると維持低下を悪化させる可能性があります。
e.人工歯の咬合調整
誤り。
咬合干渉が義歯の動揺を招く場合には必要ですが、設問所見は抜歯後の顎堤変化による床適合低下を示しています。
覚えるポイント
- 即時義歯では抜歯後の顎堤変化を見越した継続管理が必要です。
- リラインは義歯床粘膜面へ材料を追加して適合を回復します。
- 疼痛部の削合と、緩い義歯のリラインを区別します。