116C072第116回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科補綴学

52 歳の男性。上顎左側第一小臼歯の冠が外れたことによる咀嚼困難を主訴とし て来院した。クラウンは数年前に装着し、1 週前に脱離したという。4 は垂直打 診に反応を示す。患者は金属色の見えない歯冠修復を希望している。初診時の口腔 内写真(別冊No. 29A、B)とエックス線画像(別冊No. 29C)を別に示す。歯周組 織検査結果の一部を表に示す。 頰 側* 2 2 2 3 ⑧ 3 2 2 2 歯 種 3 4 5 口蓋側* 2 2 2 2 2 2 2 2 2 動揺度** 0 1 0 * :プロービング深さ(mm) 〇印 :プロービング時の出血 ** :Miller の判定基準 4 への前処置と修復法の組合せで適切なのはどれか。1 つ選べ。

116C072の問題画像
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正解: d

正答

d

この問題のポイント

深い孤立性ポケット、動揺、打診反応、失活歯の既往を伴う補綴歯では歯根破折を疑い、保存可能性を判断して補綴設計を決めます。

解説

上顎左側第一小臼歯には頰側中央の8 mmポケットと動揺があり、エックス線所見を合わせると垂直性歯根破折が疑われます。破折歯は保存困難なため抜歯します。

患者は金属色の見えない修復を希望しており、隣在歯を支台とするオールセラミックブリッジが適します。抜歯せず挺出や歯冠長延長を行っても、破折した歯根の予後は改善しません。

症例問題の解き方
脱離だけでなく、打診、動揺、孤立性ポケット、エックス線像から支台歯の予後を判定します。

画像の確認

実画像では、上顎左側第一小臼歯は冠脱離後の根管治療済み支台だけが残り、頰側中央に根面深くへ及ぶ局所的な歯周組織欠損がみえる。エックス線像と本文の動揺・垂直打診痛・孤立性8 mmポケットを合わせると歯根破折を疑い保存処置は不適切であるため抜歯し、金属色を避ける希望には隣在歯支台のオールセラミックブリッジが合う。

選択肢の確認

a.挺 出 4 オールセラミッククラウン
誤り。挺出後のオールセラミッククラウンは歯根が保存可能な場合の選択肢で、歯根破折が疑われる本症例には適しません。

b.挺 出 4 コンポジットレジンクラウン
誤り。挺出で破折線や歯周組織の問題は解決せず、コンポジットレジンクラウンの適応にもなりません。

c.抜 歯 ③4 ⑤ レジン前装冠ブリッジ
誤り。抜歯とブリッジは妥当ですが、レジン前装冠では金属色を避けたい希望と審美要求への対応が不十分です。

d.抜 歯 ③4 ⑤ オールセラミックブリッジ
正答。最も適切です。4 を抜歯し、③と⑤を支台とするオールセラミックブリッジで審美性を回復します。

e.歯冠長延長 4 オールセラミッククラウン
誤り。歯冠長延長は健全歯質確保に用いますが、垂直性歯根破折歯の保存処置にはなりません。

覚えるポイント

  • 孤立性の深いポケットは歯根破折を疑う。
  • 破折歯は保存可能性を慎重に評価する。
  • 患者の審美希望を補綴材料選択へ反映する。

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