116C037|第116回 歯科医師国家試験 過去問
75 歳の男性。左側顎下部の腫脹を主訴として来院した。診察の結果、顎下部蜂 窩織炎と診断し、抗菌薬の点滴静注を開始したところ、投与開始5 分後に呼吸困難 を訴えた。胸部の聴診で喘鳴が聴取され、全身の皮膚に膨疹を認める。この時の生 体情報モニタ画面の写真(別冊No. 11)を別に示す。 まず投与すべき薬剤はどれか。1 つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
抗菌薬投与直後の呼吸困難、喘鳴、全身膨疹はアナフィラキシーです。第一選択薬はアドレナリンです。
解説
投与開始5分後という急速な発症、気道・呼吸症状である喘鳴、皮膚粘膜症状である膨疹がそろっており、アナフィラキシーと判断します。薬剤投与を中止し、応援要請、体位調整、酸素投与、モニタリングを行いながらアドレナリンを筋肉内投与します。
抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイドは補助薬であり、気道浮腫や循環不全へ即効性を示す第一選択薬ではありません。
全身管理上の注意点
原因薬剤の投与を直ちに中止し、気道確保と循環管理を遅らせないことが最重要です。
画像の確認
実画像では、生体モニタに心拍数135/分、血圧75/39 mmHg、SpO₂ 84%が表示され、頻脈・著しい低血圧・低酸素血症が同時にみえる。抗菌薬開始直後の喘鳴と全身膨疹という本文を合わせるとアナフィラキシーによる呼吸循環不全であり、まずアドレナリンを投与する。
選択肢の確認
a.アスピリン
誤り。アスピリンは鎮痛・抗血小板薬で、アナフィラキシー治療薬ではありません。
b.ジアゼパム
誤り。ジアゼパムは抗不安・抗けいれん薬であり、気道・循環症状を改善しません。
c.アドレナリン
正答。最優先です。アドレナリン筋肉内投与は気管支拡張、血管収縮、心収縮力増強によりアナフィラキシーの生命危機を改善します。
d.リドカイン塩酸塩
誤り。リドカイン塩酸塩は局所麻酔薬・抗不整脈薬で、アナフィラキシーの第一選択ではありません。
e.アセトアミノフェン
誤り。アセトアミノフェンは解熱鎮痛薬であり、アナフィラキシーの原因病態を改善しません。
覚えるポイント
- アナフィラキシーの第一選択はアドレナリン筋肉内投与。
- 皮膚症状に加えて呼吸・循環症状を重視する。
- 薬剤中止、応援要請、酸素投与、モニタリングを並行する。