116B047|第116回 歯科医師国家試験 過去問
35 歳の女性。上顎右側第一小臼歯の咬合時の違和感を主訴として来院した。10 年前にかかりつけ歯科医で処置を受けたが、2 週前から自覚するようになったとい う。自発痛はないが、打診に反応がある。プロービング深さは全周3 mm 以下で あった。診察の結果、慢性根尖性歯周炎と診断した。初診時の口腔内写真(別冊 No. 17A)とエックス線画像(別冊No. 17B)を別に示す。 原因として考えられるのはどれか。3 つ選べ。

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正解: b・c・e
正答
b、c、e
この問題のポイント
根管治療歯の慢性根尖性歯周炎では、根管内感染の残存と歯冠側からの再感染経路を探します。
解説
エックス線画像では根管充塡の長さ・緊密性が不十分で、補綴装置の辺縁不適合も疑われます。不良根管充塡は根管内細菌の残存を許し、不適合な補綴装置は辺縁漏洩を生じ、コロナルリーケージによる再感染につながります。プロービング深さが全周3 mm以下であるため、歯周ポケット由来の病変や著明な辺縁骨吸収は主原因と考えにくいです。
画像の確認
実画像では、上顎右側第一小臼歯に全部被覆冠があり、口蓋側では金属面の露出と冠辺縁周囲の不連続・汚染がみえる。デンタル像ではポストの入った根管治療歯で、根管充塡は根尖まで緊密に到達せず根尖周囲に透過像が疑われる。冠辺縁の不適合から歯冠側漏洩が起こり得るため、不良根管充塡・不適合補綴装置・コロナルリーケージの3項目を支持する。
選択肢の確認
a.前装部の破損
原因としては考えにくいです。
前装部の破損は審美性や表面性状の問題ですが、それだけで根管内感染を起こす直接原因とは限りません。
b.不良な根管充塡
原因として考えられます。
根管充塡が短い、疎である、未処置根管があるなどの不良根管充塡は細菌残存の原因になります。
c.不適合な補綴装置
原因として考えられます。
補綴装置の辺縁不適合は微小漏洩と二次齲蝕を生じ、根管系への再感染経路となります。
d.辺縁歯槽骨の吸収
原因としては考えにくいです。
辺縁歯槽骨の吸収が主原因なら深い歯周ポケットなどを伴うことが多いですが、本症例は全周3 mm以下です。
e.コロナルリーケージ
原因として考えられます。
歯冠側封鎖が破綻すると唾液・細菌が根管内へ侵入するコロナルリーケージが生じます。
覚えるポイント
- 根尖病変の再発では根管充塡と歯冠側封鎖を確認する。
- コロナルリーケージは根管治療後の再感染経路。
- 狭く均一な歯周ポケットなら垂直性歯根破折・歯周由来の可能性は低い。