115C051|第115回 歯科医師国家試験 過去問
75 歳の男性。食事中の上顎義歯による口蓋部の痛みを主訴として来院した。使 用中の義歯は 5年前に装着したという。診察と検査の結果、義歯を新製することと した。初診時の口腔内写真 (別冊No. 16 )を別に示す。 疼痛に対する処置を行う時期はどれか。 3つ選べ。

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正解: a・b・e
正答
a、b、e
この問題のポイント
写真では口蓋正中部に骨性隆起を認め、薄い粘膜を義歯床が圧迫して疼痛を生じたと考えます。義歯製作の複数段階で、口蓋隆起部への圧を避けるリリーフを行います。
解説
口蓋隆起は、硬口蓋正中部に生じる骨性隆起です。表面粘膜が薄く、被圧変位量が小さいため、義歯床が強く接触すると疼痛や潰瘍を起こしやすくなります。
疼痛への対応は、完成義歯の装着時だけではありません。各製作段階で口蓋隆起部への圧を避ける必要があります。
粘膜調整時には、使用中義歯の口蓋隆起部をリリーフして圧迫を除き、傷害された粘膜を回復させます。
個人トレー製作時には、口蓋隆起部にスペーサーを設け、精密印象時の過圧を防ぎます。
咬合床製作時には、基礎床が口蓋隆起へ強く当たらないようにリリーフします。咬合床が安定していなければ、顎間関係の記録も不正確になります。
人工歯排列やろう義歯試適は、主に歯の位置、咬合、審美性、発音などを確認する段階であり、粘膜面の圧を直接調整する中心的時期ではありません。
治療選択のポイント
被圧変位量の小さい骨隆起部は、印象圧と義歯床圧を逃がします。リリーフしすぎると義歯の支持や安定を損なうため、必要範囲に限定します。
画像の確認
実画像では、口蓋正中に広く滑らかな楕円形の骨性隆起があり、薄い粘膜に覆われている。この隆起を圧迫しないよう、ティッシュコンディショニング、個人トレー、咬合床でリリーフを付与する正答a、b、eが支持される。
選択肢の確認
a.粘膜調整時
正しい。
使用中義歯の口蓋隆起部をリリーフし、粘膜調整材で傷害粘膜の回復を図ります。
b.咬合床製作時
正しい。
基礎床が骨性隆起を圧迫しないようにリリーフし、安定した咬合採得を可能にします。
c.人工歯排列時
誤り。
人工歯排列では歯の位置、歯列弓形態、咬合様式を設定します。口蓋粘膜への圧を直接処置する段階ではありません。
d.ろう義歯試適時
誤り。
ろう義歯試適では審美性、発音、咬合、顎間関係などを確認します。口蓋隆起部の圧を処置する中心的時期ではありません。
e.個人トレー製作時
正しい。
口蓋隆起部へスペーサーを付与し、精密印象時の過圧と疼痛を防ぎます。
覚えるポイント
- 口蓋隆起は薄い粘膜に覆われ、義歯床圧で疼痛を起こしやすい部位です。
- 粘膜調整、個人トレー、咬合床の各段階でリリーフを考えます。
- 人工歯排列とろう義歯試適は、主に歯の位置・咬合・審美性の確認です。