115C041|第115回 歯科医師国家試験 過去問
68 歳の男性。咀嚼困難を主訴として来院した。下顎のオーバーデンチャーは 3年前から装着しているが、最近残根が痛くて嚙めないという。診察の結果、義歯床 下の 54334は保存不可能と診断し抜歯した。抜歯 2週後と 6週後の下顎顎堤 の写真 (別冊No. 12A、B を別に示す。 下顎義歯への対応として正しいのはどれか。 2つ選べ。

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正解: c・e
正答
c、e
この問題のポイント
残根を抜歯した後は、抜歯窩の治癒と顎堤吸収によって、義歯床下の形態が短期間で大きく変化します。既存のオーバーデンチャーを継続して用いる場合は、変化する顎堤に合わせて粘膜面を繰り返し調整することが重要です。
解説
症例は68歳で、下顎オーバーデンチャーの床下にあった複数の残根を抜歯しています。写真では、抜歯2週後には抜歯窩の陥凹や不整が残り、6週後には上皮化が進んでいるものの、顎堤形態は抜歯前とは異なっています。
抜歯後の顎堤では、血餅形成、肉芽組織への置換、上皮化、骨改造という過程が進みます。外見上は治癒していても、内部では骨吸収と骨形成が続くため、6週後でも義歯床との適合は変化します。
この時期には、義歯床粘膜面の抜歯部を十分にリリーフし、必要に応じて粘膜調整材や暫間裏装材を用いて適合を修正します。ただし、材料を治癒途中の抜歯窩へ強く押し込むのではなく、創部を圧迫しないように調整します。
硬質材料による最終的なリラインは、顎堤形態が短期間に大きく変化する抜歯直後には適しません。まずは軟らかい材料による暫間的な対応を行い、治癒に合わせて調整を繰り返します。
治療選択のポイント
抜歯後の義歯管理では、創部保護、義歯の安定、咬合の維持を両立させます。外見上の上皮化だけで治癒完了と判断せず、顎堤の形態変化が続くことを考慮します。
画像の確認
実画像では、抜歯2週後には前歯部抜歯窩がまだ不整で開放性を残し、6週後には上皮化して滑らかになる一方、顎堤形態は変化している。この治癒に伴う粘膜面変化へ追随する調整と再裏装が必要であり、正答c、eを支える。
選択肢の確認
a.選択肢a(問題画像参照)
誤り。
問題画像のaは「2週後までは義歯を装着しない」です。創部を圧迫しないよう適切にリリーフ・調整できれば、必ず2週間まったく装着しないとは限りません。咀嚼や審美の必要性も考慮し、創部を保護しながら使用します。
b.選択肢b(問題画像参照)
誤り。
問題画像のbは「粘膜調整材を抜歯窩に適合させる」です。粘膜調整材を抜歯窩の内部へ押し込むと、治癒組織を圧迫し、疼痛や治癒遅延を起こすおそれがあります。抜歯窩部はリリーフし、周囲顎堤で適合を得ます。
c.選択肢c(問題画像参照)
正しい。
問題画像のcは「6週後も粘膜面の調整が必要である」です。6週後でも顎堤内部では骨改造が続き、義歯床との適合が変化するため、粘膜面の確認と調整が必要です。
d.選択肢d(問題画像参照)
誤り。
問題画像のdは「抜歯直後に硬質材料によるリラインを行う」です。抜歯直後は顎堤形態が急速に変化するため、硬質材料で固定的に裏装すると短期間で不適合となり、創部へ過大な圧が加わります。
e.選択肢e(問題画像参照)
正しい。
問題画像のeは「顎堤形態の変化に合わせて粘膜面の調整を繰り返す」です。治癒の進行に応じてリリーフ、粘膜調整、咬合調整などを繰り返すことが適切です。
覚えるポイント
- 抜歯後は上皮化後も顎堤の骨改造と吸収が続きます。
- 治癒途中では、硬質リラインより暫間的な粘膜面調整を優先します。
- 粘膜調整材を抜歯窩へ強く押し込まず、創部をリリーフします。