115C042|第115回 歯科医師国家試験 過去問
39 歳の女性。口蓋の腫瘤を主訴として来院した。かかりつけ歯科医で指摘され たという。触診では弾性軟で、圧痛はない。初診時の口腔内写真 (別冊No. 13A 、 造影CT (別冊No. 13B 及び生検時のH-E 染色病理組織像 (別冊No. 13C を別に 示す。 診断名はどれか。 1つ選べ。

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正解: b
正答
b
この問題のポイント
成人の口蓋に生じた、無痛性で境界明瞭な緩徐発育性腫瘤です。画像と病理で、上皮・筋上皮成分と粘液腫様あるいは軟骨様間質が混在する多形腺腫を判断します。
解説
症例は39歳の女性で、かかりつけ歯科医に口蓋腫瘤を指摘されています。圧痛はなく、弾性軟です。口腔内写真では口蓋後方に境界明瞭な半球状腫瘤を認め、造影CTでは口蓋部に限局した腫瘤として評価します。
口蓋は小唾液腺腫瘍の好発部位です。多形腺腫は最も代表的な良性唾液腺腫瘍で、一般に無痛性、緩徐発育性、境界明瞭な腫瘤として現れます。
病理組織では、腺管状・索状に増殖する上皮細胞と筋上皮細胞に加え、粘液腫様、硝子様、軟骨様など多彩な間質を認めます。この多彩な組織像が「多形」の由来です。
多形腺腫は被膜を有することがありますが、被膜外へ小さな腫瘍胞巣が突出することがあります。そのため、単純な核出ではなく、周囲の健常組織を含めた適切な切除が必要です。長期間放置すると再発や悪性化の可能性もあります。
病理像で見るポイント
腺管状構造だけでなく、上皮・筋上皮細胞と淡い粘液腫様間質が同一病変内に混在しているかを確認します。
画像の確認
実画像では、口蓋後方に中央部が赤みを帯びた半球状腫瘤があり、画像診断では限局性軟組織腫瘤として描出される。組織像で上皮・導管様構造と淡い粘液軟骨様間質が併存しており、多形腺腫を選ぶ正答bを支える。
選択肢の確認
a.線維腫
誤り。
線維腫は線維性結合組織の増殖からなる良性病変で、病理では膠原線維と線維芽細胞が主体です。腺管構造や粘液腫様・軟骨様間質を示す多形腺腫とは異なります。
b.多形腺腫
正しい。
無痛性で緩徐に増大する口蓋腫瘤という臨床像と、上皮・筋上皮成分および多彩な間質を示す病理像が一致します。
c.粘表皮癌
誤り。
粘表皮癌は粘液細胞、類表皮細胞、中間細胞から構成される悪性唾液腺腫瘍です。嚢胞状構造を伴うことがありますが、多形腺腫のような粘液腫様・軟骨様間質の混在は典型ではありません。
d.腺様囊胞癌
誤り。
腺様囊胞癌は篩状構造と神経周囲浸潤が特徴で、疼痛や知覚異常を伴うことがあります。本症例の病理像は多形腺腫に合致します。
e.壊死性唾液腺化生
誤り。
壊死性唾液腺化生は口蓋小唾液腺の虚血性壊死に関連し、腫脹後に深い潰瘍を形成する反応性病変です。長く保たれる無痛性の充実性腫瘤とは異なります。
覚えるポイント
- 多形腺腫は無痛性・緩徐発育性の良性唾液腺腫瘍です。
- 病理では上皮・筋上皮成分と粘液腫様・軟骨様間質が混在します。
- 口蓋は小唾液腺腫瘍の好発部位です。