39AM69|第39回 臨床工学技士国家試験 過去問
量規定で人工呼吸管理中の気道内圧上昇の原因で正しいのはどれか。 a.気管チューブのカフの虚脱 b.気管チューブの片側気管支挿入 c.痰など分泌物の貯留 d.ファイティング e.人工呼吸回路からのリーク
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4
この問題のポイント
この問題では、量規定換気で人工呼吸管理中に気道内圧が上昇する原因を判断します。
量規定換気では、設定した1回換気量 VTを送り込むことを優先します。
そのため、肺や気道の状態が悪くなっても、同じ量のガスを入れようとするため、条件によっては気道内圧が上昇します。
気道内圧上昇の代表的な原因は、次の2系統で考えます。
- 気道抵抗の増加
- 肺・胸郭コンプライアンスの低下
この問題では、片側気管支挿入、分泌物貯留、ファイティングが気道内圧上昇の原因になります。
解説
量規定換気では、設定された換気量を送るために、人工呼吸器が必要な圧を発生させます。
つまり、同じ1回換気量を送る場合でも、気道が狭くなったり肺が膨らみにくくなったりすると、より高い圧が必要になります。
気道内圧が上昇する主な状況は次のとおりです。
- 気管チューブの屈曲や閉塞
- 痰などの分泌物貯留
- 気管支攣縮
- 片側気管支挿入
- 無気肺、肺水腫、ARDSなどによる肺コンプライアンス低下
- 患者の咳嗽、体動、ファイティング
- 気胸などによる肺の膨らみにくさ
一方、カフの虚脱や呼吸回路からのリークでは、送気したガスが逃げます。
そのため、気道内圧は上がるよりも低下しやすい、または十分な換気量が入らなくなります。
ひっかけポイント
量規定換気で気道内圧が上がるのは、設定した換気量を入れるために、より大きな圧が必要になる場合です。閉塞、抵抗増加、肺が膨らみにくい状態、患者との同調不良を疑います。
逆に、リークでは圧が逃げるため、気道内圧は上昇しにくくなります。
臨床工学技士としての注意点
高気道内圧アラームが鳴った場合は、人工呼吸器だけでなく、患者、気管チューブ、呼吸回路を同時に確認します。特に、SpO₂低下、胸郭の左右差、呼吸音、気管チューブの固定位置、回路の屈曲、分泌物、患者のファイティングを迅速に評価します。
小項目の確認
a.誤り。
気管チューブのカフが虚脱すると、カフ周囲からガスが漏れます。これはリークの原因となり、気道内圧は上昇するよりも低下しやすくなります。また、換気量不足や低換気、低圧アラームの原因になります。
b.正しい。
気管チューブが片側気管支、特に右主気管支へ深く入りすぎると、片肺換気になります。換気できる肺容量が減り、肺が膨らみにくくなるため、同じ換気量を送るには高い圧が必要になります。したがって、気道内圧上昇の原因になります。
c.正しい。
痰などの分泌物が気管チューブ内や気道内に貯留すると、気道抵抗が増加します。量規定換気では、設定した換気量を送るために圧が上昇しやすくなります。吸引が必要な代表的状況です。
d.正しい。
ファイティングとは、患者の自発呼吸や咳嗽、体動が人工呼吸器の送気と合わない状態です。患者が呼気をしようとしているタイミングで人工呼吸器が送気するなど、同調不良が起こると気道内圧が上昇します。
e.誤り。
人工呼吸回路からリークがあると、送気したガスが外へ逃げます。そのため、気道内圧は上昇するよりも低下しやすく、低圧アラームや換気量不足の原因になります。
選択肢の確認
1.誤り。
選択肢1は a、b、c の組合せです。bとcは気道内圧上昇の原因ですが、aの気管チューブのカフの虚脱はリークを起こし、気道内圧上昇の原因としては不適切です。
2.誤り。
選択肢2は a、b、e の組合せです。bは正しいですが、aとeはいずれもリークに関係し、気道内圧は低下しやすくなります。
3.誤り。
選択肢3は a、d、e の組合せです。dのファイティングは気道内圧上昇の原因ですが、aとeはリークにより気道内圧低下につながりやすい項目です。
4.正しい。
選択肢4は b、c、d の組合せです。片側気管支挿入、分泌物貯留、ファイティングはいずれも量規定換気中の気道内圧上昇の原因になります。
5.誤り。
選択肢5は c、d、e の組合せです。cとdは正しいですが、eの人工呼吸回路からのリークは気道内圧上昇ではなく、低圧や換気量不足の原因になります。
覚えるポイント
- 量規定換気では、設定した換気量を送るため、抵抗増加やコンプライアンス低下で気道内圧が上昇する。
- 分泌物貯留は気道抵抗を増加させ、気道内圧上昇の原因になる。
- 片側気管支挿入では換気される肺容量が減り、気道内圧が上昇しやすい。
- ファイティングは患者と人工呼吸器の同調不良であり、気道内圧上昇を起こす。
- カフ虚脱や回路リークはガスが逃げるため、気道内圧上昇ではなく低圧や換気量不足の原因になりやすい。
- 高気道内圧アラームでは、患者状態、気管チューブ、分泌物、回路、換気設定を順に確認する。