39AM67|第39回 臨床工学技士国家試験 過去問
人工呼吸器の換気設定で PaCO₂ に直接影響するのはどれか。 a.換気回数(RR) b.1 回換気量(VT) c.吸気終末休止(EIP) d.呼気終末陽圧(PEEP) e.吸入酸素濃度(FIO₂)
解答・解説を見る
正解: 1
正答
1
この問題のポイント
この問題では、人工呼吸器の設定のうち、PaCO₂に直接影響する因子が問われています。
PaCO₂は、主に肺胞換気量によって決まります。
肺胞換気量は、次の式で考えます。
- 肺胞換気量 = (VT - 死腔量) × RR
ここで、
- VT:1回換気量
- RR:換気回数
- 死腔量:ガス交換に参加しない換気量
です。
したがって、PaCO₂に直接影響する設定は、換気回数 RRと1回換気量 VTです。
解説
体内で産生されたCO₂は、血液によって肺へ運ばれ、肺胞換気によって体外へ排出されます。
CO₂排出量が不足すると、PaCO₂は上昇します。
逆に、CO₂排出量が増えると、PaCO₂は低下します。
人工呼吸器でCO₂排出に直接関係するのは、どれだけ肺胞を換気できているかです。
分時換気量は、
- 分時換気量 = VT × RR
で表されます。
ただし、実際にガス交換に参加するのは、死腔を除いた肺胞換気量です。
- 肺胞換気量 = (VT - 死腔量) × RR
そのため、RRとVTはPaCO₂に直接影響します。
国家試験ではここを押さえる
PaCO₂は換気、PaO₂は酸素化と整理します。PaCO₂を下げたいときは、基本的に肺胞換気量を増やします。
酸素化を改善したいときは、FIO₂、PEEP、平均気道内圧などを考えます。
小項目の確認
a.正しい。
換気回数 RR を増やすと、単位時間あたりに換気される量が増えるため、CO₂排出が増え、PaCO₂は低下しやすくなります。RRはPaCO₂に直接影響します。
b.正しい。
1回換気量 VT を増やすと、1回の呼吸で肺胞へ届く換気量が増えます。その結果、CO₂排出が増え、PaCO₂は低下しやすくなります。VTはPaCO₂に直接影響します。
c.誤り。
吸気終末休止 EIP は、吸気の終わりに一時的に気流を止める設定です。ガス分布やプラトー圧測定に関係しますが、RRやVTほどPaCO₂に直接影響する設定ではありません。
d.誤り。
PEEPは呼気終末陽圧であり、肺胞虚脱を防ぎ、FRCや酸素化に関係します。PaCO₂への影響が全くないわけではありませんが、直接的にPaCO₂を調節する主因はRRとVTです。
e.誤り。
FIO₂は吸入酸素濃度であり、主に酸素化、つまりPaO₂やSpO₂に影響します。CO₂排出を直接増減させる設定ではありません。
選択肢の確認
1.正しい。
選択肢1は a、b の組合せです。換気回数 RR と1回換気量 VT は、肺胞換気量を直接変化させるため、PaCO₂に直接影響します。
2.誤り。
選択肢2は a、e の組合せです。aは正しいですが、eのFIO₂は主に酸素化に関係し、PaCO₂を直接調節する設定ではありません。
3.誤り。
選択肢3は b、c の組合せです。bは正しいですが、cのEIPはPaCO₂に直接影響する主因ではありません。
4.誤り。
選択肢4は c、d の組合せです。EIPとPEEPは、主に肺内ガス分布、平均気道内圧、FRC、酸素化などに関係します。PaCO₂への直接的な調節因子としては不適切です。
5.誤り。
選択肢5は d、e の組合せです。PEEPとFIO₂は主に酸素化に関係します。PaCO₂を直接調節する設定は、換気回数 RR と1回換気量 VT です。
覚えるポイント
- PaCO₂は肺胞換気量に直接左右される。
- 肺胞換気量は (VT - 死腔量) × RR で考える。
- RRを増やすとCO₂排出が増え、PaCO₂は低下しやすい。
- VTを増やすとCO₂排出が増え、PaCO₂は低下しやすい。
- FIO₂とPEEPは主に酸素化に関係する。
- 人工呼吸器設定では、CO₂管理と酸素化管理を分けて考える。