39AM66|第39回 臨床工学技士国家試験 過去問
PEEP(呼気終末陽圧)の影響について誤っているのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2
この問題のポイント
この問題では、PEEPの生理学的影響が問われています。
PEEPは、呼気終末にも気道内圧を陽圧に保つ設定です。
主な効果は次のとおりです。
- 肺胞虚脱を防ぐ
- FRCを増加させる
- 平均気道内圧を上昇させる
- 酸素化を改善しやすい
- 胸腔内圧上昇により静脈還流を減らし、心拍出量を低下させることがある
問題文は「誤っているのはどれか。」です。
PEEPで心拍出量は増加するのではなく、一般に低下しやすいため、2が正答です。
解説
PEEPは positive end-expiratory pressure の略で、日本語では呼気終末陽圧といいます。
呼気の終わりにも気道内に陽圧を残すことで、肺胞が完全に虚脱するのを防ぎます。
その結果、肺内には次のような変化が起こります。
- 肺胞が開きやすくなる
- 無気肺が改善しやすい
- 機能的残気量 FRC が増える
- 平均気道内圧が上がる
- 酸素化が改善しやすい
一方で、PEEPを高くすると胸腔内圧が上昇します。
胸腔内圧が上昇すると、全身静脈から右心系へ血液が戻りにくくなります。これを静脈還流の低下といいます。
静脈還流が低下すると、右心室の前負荷が低下し、その結果として心拍出量が低下することがあります。
ひっかけポイント
PEEPは酸素化を改善するために使われますが、循環には負担となることがあります。「肺にはよい方向の効果があるが、心拍出量は増えるとは限らない」と整理します。
臨床工学技士としての注意点
PEEPを上げた後は、SpO₂やPaO₂だけでなく、血圧、心拍数、尿量、中心静脈圧、循環動態も確認します。過剰なPEEPは、過膨張、気胸、血圧低下、心拍出量低下の原因になります。
選択肢の確認
1.記述としては正しい。
PEEPにより胸腔内圧が上昇すると、頭蓋内からの静脈還流が妨げられ、頭蓋内圧が上昇することがあります。特に頭蓋内圧亢進がある患者では注意が必要です。
2.正答。記述としては誤り。
PEEPにより胸腔内圧が上昇すると、静脈還流が低下し、心拍出量は増加ではなく低下しやすくなります。したがって、この記述が誤りです。
3.記述としては正しい。
PEEPは呼気終末にも陽圧をかけるため、肺胞がつぶれるのを防ぎます。無気肺の予防や酸素化改善に関係します。
4.記述としては正しい。
PEEPを設定すると呼気終末の圧が上がるため、呼吸周期全体でみた平均気道内圧も上昇します。平均気道内圧の上昇は酸素化に影響します。
5.記述としては正しい。
PEEPにより呼気終末にも肺内にガスが残りやすくなり、FRC、すなわち機能的残気量が増加します。FRCの増加は肺胞虚脱の予防に関係します。
この問題では「誤っているもの」を選ぶため、記述として誤っている2が正答です。
覚えるポイント
- PEEPは、呼気終末にも気道内に陽圧を残す設定である。
- PEEPは、肺胞虚脱を防ぎ、FRCを増加させる。
- PEEPは、平均気道内圧を上昇させ、酸素化を改善しやすい。
- PEEPにより胸腔内圧が上がると、静脈還流が低下する。
- PEEPでは、心拍出量は増加ではなく低下しやすい。
- PEEP設定後は、酸素化だけでなく循環動態も確認する。