35Q43|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
Lさん(83歳、女性、要介護1)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)である。一人暮らしで、週2回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。 ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると、息子が来ていて、「最近、母が年金の引き出しや、水道代の支払いを忘れるようだ。日常生活自立支援事業というものがあると聞いたことがあるが、どのような制度なのか」と質問があった。 訪問介護員(ホームヘルパー)の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.「生活支援員が、水道代の支払いをLさんの代わりに行うことができます」
この問題のポイント
日常生活自立支援事業は、判断能力が十分でない人が、地域で安心して生活を続けられるように、福祉サービスの利用や日常的な金銭管理などを契約に基づいて支援する事業です。
この問題では、成年後見制度との違い、契約できる人、支援内容、相談・苦情の窓口を見分けます。
解説
日常生活自立支援事業の対象は、認知症、知的障害、精神障害などによって、福祉サービスの利用手続きや日常的な金銭管理を一人で適切に行うことが難しい人です。ただし、本人が事業の契約内容を理解し、利用する意思を示せることが必要です。認知症という診断があるだけで利用の可否が決まるのではなく、契約能力と本人の意思を個別に確認します。
支援内容には、福祉サービスの利用援助、公共料金や医療費などの日常的な支払い、預金の払い戻しに関する援助、通帳や年金証書などの書類の預かりがあります。専門員が本人と相談して支援計画を作成し、生活支援員が定期的に訪問して、契約と支援計画の範囲で援助します。
したがって、水道代などの公共料金について、生活支援員が本人の意思を確認しながら支払いの手続きを援助することができます。本人のお金を支援者が自由に管理する制度ではなく、本人の権利と自己決定を守るための支援です。
相談窓口は、都道府県社会福祉協議会や、窓口となる市区町村社会福祉協議会などです。家庭裁判所は法定後見制度の申立先であり、日常生活自立支援事業の申込窓口ではありません。本人が契約内容を理解できない場合は、家族が当然に本人の代わりに契約できるわけではなく、成年後見制度など別の仕組みを検討します。
ひっかけポイント
日常生活自立支援事業は「本人との契約」による支援です。本人の契約能力が必要である点が、家庭裁判所が後見人等を選任する法定後見制度との重要な違いです。
介護実践でのポイント
金銭管理の失敗だけを理由に本人から管理権限を取り上げず、何に困っているのか、どの範囲の支援を望んでいるのかを確認し、適切な相談窓口につなぎます。
選択肢の確認
1.「申込みをしたい場合は、家庭裁判所が受付窓口です」
適切ではありません。
家庭裁判所は法定後見制度の申立先です。日常生活自立支援事業は、都道府県社会福祉協議会や窓口となる市区町村社会福祉協議会などに相談します。
2.「年金の振込口座を、息子さん名義の口座に変更することができます」
適切ではありません。
本人の年金を家族名義の口座に移す制度ではありません。本人の財産と権利を守りながら、本人名義の預貯金から必要な支払いを行うための援助をします。
3.「Lさんが契約内容を理解できない場合は、息子さんが契約できます」
適切ではありません。
本事業は本人との契約に基づくため、本人が契約内容を理解できることが必要です。家族が当然に本人の代わりに契約することはできません。必要に応じて成年後見制度などを検討します。
4.「生活支援員が、水道代の支払いをLさんの代わりに行うことができます」
正答。最も適切です。
公共料金の支払いは、日常的金銭管理サービスに含まれます。生活支援員は、本人との契約と支援計画に基づき、本人の意思を確認しながら支払いを援助します。
5.「利用後に苦情がある場合は、国民健康保険団体連合会が受付窓口です」
適切ではありません。
日常生活自立支援事業の適正な運営を確保する仕組みとして、都道府県社会福祉協議会に運営適正化委員会が設けられています。国民健康保険団体連合会は、介護保険サービスの苦情処理などを担う機関です。
覚えるポイント
日常生活自立支援事業は、本人との契約に基づく支援です。
本人が契約内容を理解できることが利用の前提になります。
支援内容は、福祉サービス利用援助、日常的金銭管理、書類等の預かりです。
公共料金の支払いは支援できますが、本人の財産を家族や支援者の名義に移す制度ではありません。