34Q81第34回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ認知症の理解

認知症(dementia)の行動・心理症状(BPSD)に対する抗精神病薬を用いた薬物療法でよくみられる副作用として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 2

正答

2.誤嚥{ごえん}のリスクが高くなる。

この問題のポイント

抗精神病薬を認知症の行動・心理症状(BPSD)に用いたときに、高齢者で起こりやすい有害事象を見分ける問題です。薬の作用による眠気や錐体外路症状が、嚥下機能や咳の力を低下させ、誤嚥につながることを押さえます。

解説

認知症の人に妄想、幻覚、強い興奮、攻撃性などがみられる場合でも、まず痛み、便秘、脱水、感染症、薬剤、睡眠不足、環境の変化、不安など、症状の背景を確認します。本人へのかかわり方や環境調整などの非薬物的な対応を行っても改善が乏しく、本人や周囲に大きな危険がある場合などに、医師が必要性と危険性を検討して薬物療法を行います。

抗精神病薬では、眠気や過鎮静、パーキンソン症状などの錐体外路症状、ふらつき、転倒、認知機能の低下などが起こることがあります。筋肉がこわばる、動作が遅くなる、口や舌が動かしにくくなる、覚醒度が下がるといった変化は、食べ物を安全に飲み込む働きや、気道に入ったものを咳で出す働きを弱めます。そのため、誤嚥や誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。

介護福祉職は、食事中のむせ、湿った声、食後の痰、発熱、眠気、歩行の変化、筋肉のこわばりなどを観察し、看護職や医師に具体的に報告します。薬の増減や中止を介護福祉職が独断で判断してはいけません。

ひっかけポイント
抗精神病薬の副作用では、活動性が高まるよりも、過鎮静や動作の低下が問題になりやすくなります。また、筋緊張が緩むことより、錐体外路症状による筋肉のこわばりや動作の遅さに注意します。

介護実践でのポイント
薬を飲み始めた時期や増量後に、むせ、眠気、ふらつき、歩幅の変化などが現れていないかを確認します。変化を「年齢のため」と決めつけず、多職種へ共有することが重要です。

選択肢の確認

1.歩幅が広くなる。
適切ではありません。
抗精神病薬による錐体外路症状では、歩幅が狭くなる、小刻みになる、動き始めにくくなるなどのパーキンソン症状がみられることがあります。歩幅が広くなることは代表的な副作用ではありません。

2.誤嚥{ごえん}のリスクが高くなる。
正答。最も適切です。
眠気、過鎮静、錐体外路症状などによって嚥下や咳の働きが低下し、食物や唾液が気道に入る危険が高まります。高齢者では誤嚥性肺炎にもつながるため、特に注意が必要です。

3.過剰に活動的になる。
適切ではありません。
抗精神病薬では、むしろ眠気や活動性の低下がみられることがあります。落ち着かず動き回るアカシジアが起こる場合はありますが、「過剰に活動的になる」は一般的な副作用の説明として最も適切ではありません。

4.筋肉の緊張が緩む。
適切ではありません。
錐体外路症状では筋肉のこわばりや動作の遅さがみられます。薬による鎮静は起こり得ますが、筋肉の緊張が緩むことを代表的な副作用として選ぶのは適切ではありません。

5.怒りっぽくなる。
適切ではありません。
怒りっぽさや興奮は、抗精神病薬の使用が検討されるBPSDの一部です。副作用として特に押さえるべきなのは、過鎮静、錐体外路症状、転倒、誤嚥などです。

覚えるポイント

抗精神病薬では、過鎮静、錐体外路症状、転倒、誤嚥に注意します。

嚥下機能と咳の力が低下すると、誤嚥性肺炎の危険が高まります。

介護福祉職は副作用を観察して報告し、薬の調整は医師などの医療職に委ねます。

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