35Q42第35回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ認知症の理解

慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma)に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 3

正答

3.抗凝固薬の使用はリスクとなる。

この問題のポイント

慢性硬膜下血腫は、高齢者に認知症のような症状、歩行障害、片麻痺などを起こすことがある、治療可能な病気です。軽い頭部打撲の数週間から数か月後に症状が現れることがあります。

この問題では、発症時期、危険因子、症状、治療を整理します。

解説

慢性硬膜下血腫は、頭蓋骨の内側にある硬膜と脳の間に、血液が徐々にたまる病気です。高齢者では脳が萎縮して硬膜と脳の間が広くなり、両者をつなぐ静脈が引き伸ばされているため、軽い転倒や頭部打撲でも出血することがあります。本人が打撲を覚えていない場合や、明らかな外傷歴がない場合もあります。

抗凝固薬は血液を固まりにくくする薬であり、出血が起こったときに血腫が形成・増大する危険を高めます。抗血小板薬の服用、飲酒、出血傾向なども関連することがあります。ただし、介護福祉職の判断で薬を中止してはいけません。転倒や頭部打撲後に異変があれば、服薬内容を含めて医療職に正確に報告します。

症状は、頭痛、ぼんやりする、もの忘れが急に進む、性格が変わる、歩行が不安定になる、片側の手足に力が入りにくい、尿失禁など多様です。高齢者では「認知症が進んだ」と見過ごされることがあるため、数週間から数か月の間に急に変化したときは注意が必要です。

症状のある慢性硬膜下血腫では、頭蓋骨に小さな孔を開けて血腫を排出する穿頭血腫ドレナージ術などが行われます。血腫が小さく症状がない場合には医師の判断で経過観察することもありますが、保存的治療が常に第一選択というわけではありません。

ひっかけポイント
「慢性」という名称から症状が軽いとは限りません。発症がゆっくりでも、歩行障害や片麻痺、意識障害を起こすことがあります。

介護実践でのポイント
頭部打撲後に、眠気、会話の変化、歩行の悪化、片側の脱力、嘔吐、けいれんなどがみられた場合は、本人を安全にして速やかに医療職へ報告します。

選択肢の確認

1.運動機能障害が起こることは非常に少ない。
適切ではありません。
慢性硬膜下血腫では、歩行障害、片麻痺、ふらつきなどの運動機能障害がみられることがあります。高齢者では転倒増加として気づかれる場合もあります。

2.頭蓋骨骨折を伴い発症する。
適切ではありません。
軽い頭部打撲でも発症し、頭蓋骨骨折を伴わないことが多くあります。明らかな外傷歴が確認できない場合もあります。

3.抗凝固薬の使用はリスクとなる。
正答。最も適切です。
抗凝固薬は血液を固まりにくくするため、頭蓋内出血や血腫の増大に関係する危険因子です。服薬中の人が転倒した場合は、異変の有無を慎重に観察します。

4.転倒の後、2~3日で発症することが多い。
適切ではありません。
慢性硬膜下血腫では、一般に軽い外傷から数週間から数か月後に症状が現れます。2~3日という短い経過は、慢性硬膜下血腫の典型ではありません。

5.保存的治療が第一選択である。
適切ではありません。
症状のある慢性硬膜下血腫では、穿頭血腫ドレナージ術などの外科的治療が行われることが多くあります。経過観察は、症状や血腫の大きさなどを医師が評価して選択します。

覚えるポイント

慢性硬膜下血腫は、軽い頭部打撲の数週間から数か月後に発症することがあります。

高齢、脳萎縮、抗凝固薬・抗血小板薬などは重要な危険因子です。

認知機能の変化、歩行障害、片麻痺、頭痛などがみられます。

介護福祉職は診断や薬の中止を行わず、変化を観察して速やかに医療職へ報告します。

関連問題

35Q4135Q43
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)