119C021|第119回 歯科医師国家試験 過去問
76 歳の男性。飲水時のむせを主訴として来院した。反回神経麻痺の既往がある が、現在、通院治療はしていないという。日常の食事形態への配慮はないという。 栄養状態およびチェアサイドでのスクリーニングの結果を表に示す。嚥下内視鏡検 査時の写真(別冊No. 2)を別に示す。 項 目 指 標 結 果 身 長 168 cm 体 重 65.5 kg MNA-SF 11 ポイント以下で低栄養リスクあり 13 ポイント RSST 2 回以下で問題あり 6 回 MWST 3 点以下で問題あり 3 点 咳テスト むせなしで陽性 陰性 開鼻声 なし 嗄 声 あり 舌 圧 30 kPa 未満で低下 35 kPa 直ちに行うべき対応はどれか。1 つ選べ。

解答・解説を見る
正解: d
正答
d
この問題のポイント
飲水時のむせ、MWST 3点、反回神経麻痺による嗄声を踏まえ、まず液体の流速を調整するとろみ付与を行います。
解説
MNA-SFは13点で低栄養リスクを示さず、RSSTは6回、舌圧は35 kPaで保たれています。一方、MWSTは問題ありの境界で、飲水時のむせと反回神経麻痺による声門閉鎖不全が疑われます。
液体は咽頭を速く通過するため、気道防御が不十分な患者では誤嚥しやすくなります。とろみを付けて流速を遅くすることは、直ちに実施できる代償的対応です。その後、嚥下内視鏡所見や全身状態に応じて訓練や食形態を調整します。
画像の確認
実画像の嚥下内視鏡像では喉頭入口部周囲に分泌物があり、息こらえ時にも反回神経麻痺を反映した声門閉鎖不全が示唆される。飲水でむせ、MWSTが3点であるため、まず薄い液体へとろみを付けて流入速度を下げる。
選択肢の確認
a.交互嚥下
状況によって用いますが、正答ではありません。
交互嚥下は固形物と液体を交互に摂取して咽頭残留を減らす方法で、液体そのものの誤嚥対策として最優先ではありません。
b.舌抵抗訓練
この時点での最優先ではありません。
舌圧は35 kPaで低下しておらず、舌抵抗訓練を直ちに行う根拠は乏しいです。
c.食形態の変更
必要に応じて検討しますが、最も直接的ではありません。
普通食全体を変更する前に、問題となっている液体の物性を調整します。
d.液体へのとろみ付与
正答。直ちに行います。
液体にとろみを付けて流速を遅くし、声門閉鎖が不十分でも嚥下のタイミングを合わせやすくします。
e.舌接触補助床の製作
適応が異なります。
舌接触補助床は舌切除後や舌運動・舌圧低下に対する装置で、本症例では舌圧が保たれています。
覚えるポイント
- 液体は流速が速く、嚥下障害で誤嚥しやすい食品です。
- とろみ付与は即時に行える代償的対応です。
- 検査値だけでなく、むせ・嗄声・内視鏡所見を統合します。