119A048|第119回 歯科医師国家試験 過去問
78 歳の男性。食事に時間がかかることを主訴として来院した。5 年前に左側舌 癌にて左側頸部郭清術、舌部分切除術を施行した。術後経過は良好であったが、 徐々に症状を自覚してきたという。現在の食形態は普通食で液体にとろみはつけて いないという。嚥下スクリーニングの結果を表に示す。舌安静位の口腔内写真(別 冊No. 12)を別に示す。 項 目 指 標 結 果 RSST 2 回以下で問題あり 4 回 MWST 3 点以下で問題あり 5 点 開鼻声 なし 舌圧検査 30 kPa 未満で舌圧低下 22 kPa 主訴の改善のために製作するのはどれか。1 つ選べ。

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正解: b
正答
b
この問題のポイント
舌部分切除後に舌圧が低下し、食塊形成・送り込みに時間がかかる場合は舌接触補助床を製作します。
解説
本症例はRSSTとMWSTに大きな問題がなく、開鼻声もありません。一方、舌圧は22 kPaと低く、舌部分切除後の舌運動・舌口蓋接触不足が主訴に関与すると考えられます。
舌接触補助床は口蓋部を舌に近づける形態に修正し、残存舌が口蓋へ接触しやすくします。これにより食塊形成、口腔から咽頭への送り込み、構音の改善が期待できます。
症例問題の解き方
RSST、MWST、開鼻声、舌圧を順に確認します。本症例では咽頭期より、舌口蓋接触を必要とする口腔期の障害が中心です。
画像の確認
実画像では左舌縁から舌体にかけて部分切除後の組織欠損と左右非対称があり、安静位でも舌背が口蓋へ届きにくい形態である。嚥下スクリーニングは保たれる一方で舌圧22 kPaと低いため、口蓋側を厚くして舌との接触を補う舌接触補助床が適する。
選択肢の確認
a.栓塞子
誤り。
栓塞子は上顎切除後などの顎欠損を閉鎖し、口腔と鼻腔・上顎洞の交通を遮断する装置です。本症例に顎欠損は示されていません。
b.舌接触補助床
正答。最も適切です。
舌接触補助床は低下した舌圧と舌口蓋接触を補い、食塊形成・送り込み時間の短縮に役立ちます。
c.軟口蓋挙上装置
誤り。
軟口蓋挙上装置は軟口蓋麻痺による鼻咽腔閉鎖不全や開鼻声に用います。本症例では開鼻声がありません。
d.オクルーザルランプ
誤り。
オクルーザルランプは下顎区域切除後などの下顎偏位を誘導・補正する装置です。
e.スタビリゼーションアプライアンス
誤り。
スタビリゼーションアプライアンスはブラキシズムや顎関節症などで咬合の安定化に用い、舌圧低下を補う装置ではありません。
覚えるポイント
- 舌切除後の低舌圧には舌接触補助床を考えます。
- 開鼻声がなければ軟口蓋挙上装置の適応とは考えにくいです。
- 検査値と装置の作用部位を対応させます。