119B036|第119回 歯科医師国家試験 過去問
20 歳の女性。下顎左側臼歯部の腫脹を主訴として来院した。6 か月前から自覚 していたが、1 か月前から徐々に増大してきたという。触診にて腫脹部は骨様硬で 圧痛はない。初診時のパノラマエックス線画像(別冊No. 8A)、CT(別冊No. 8B)、 MRI(別冊No. 8C)及び生検時のH-E 染色病理組織像(別冊No. 8D)を示す。 適切な治療法はどれか。1 つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
若年者の下顎臼歯部に生じた広範な顎骨病変で、画像・病理から局所制御のため骨の連続性を断つ切除が必要と判断される場合、下顎区域切除術を選択します。
解説
顎骨腫瘍の手術範囲は、病変の組織型、境界、骨髄内進展、皮質骨の状態、再発リスクを総合して決めます。摘出・掻爬では再発リスクが高い局所侵襲性病変では、安全域を設けた切除が必要です。
下顎区域切除術は、病変部を含めて下顎骨を全高にわたり切除し、骨の連続性が失われる術式です。辺縁切除は下縁を温存し、半側切除はさらに広範な病変で選択します。
画像の確認
実画像A・Bでは下顎左側臼歯部から下顎枝前縁へ及ぶ多房性・膨張性の透過性病変が皮質骨を菲薄化している。MRIは高信号を示し、病理像Dでは粘液性基質中に疎な星芒状細胞がみられ、歯原性粘液腫を示唆する。病変範囲が広いため下顎区域切除術が適する。
選択肢の確認
a.開 窓
誤り。
開窓は大きな嚢胞性病変の減圧などに用います。局所侵襲性腫瘍を根治的に制御する術式ではありません。
b.摘出術
誤り。
摘出術は境界明瞭で再発リスクが低い病変に適します。広範・侵襲性病変では不十分になることがあります。
c.下顎辺縁切除術
誤り。
下顎辺縁切除術は下顎下縁を温存して連続性を保つ術式です。病変の垂直的広がりによっては十分な安全域を得られません。
d.下顎区域切除術
正答。適切です。
下顎区域切除術は病変部を含む下顎骨を全高で切除し、局所制御を図る術式です。
e.下顎半側切除術
誤り。
下顎半側切除術は片側下顎の広範切除で、区域切除より侵襲が大きく、病変範囲がそこまで及ぶ場合に限ります。
覚えるポイント
- 顎骨腫瘍では組織型と画像上の進展範囲で術式を決めます。
- 辺縁切除は下顎の連続性を保ち、区域切除は連続性を失います。
- 再発リスクの高い病変では安全域を確保します。