117B071|第117回 歯科医師国家試験 過去問
歯科臨床歯科補綴学
舌後方部に軽度の食物残渣と「カ」行の発音の異常を認める全部床義歯装着中の 84 歳の男性。4 年前に脳梗塞の既往がある。発音試験において、「サ」行、「タ」行 および「パ」行は明瞭であった。 義歯の調整において考慮すべきなのはどれか。2 つ選べ。
2つ選択
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正解: a・e
正答
a、e
この問題のポイント
「カ」行は舌背後方と軟口蓋付近で作る軟口蓋音であり、義歯床後方の形態と舌房の広さが発音に影響します。
解説
舌後方部に食物残渣があり「カ」行だけが不明瞭であることから、舌背後方の挙上や口蓋後方部との接触が不十分と考えます。咬合高径が不適切だと舌房や舌の運動範囲が変化し、舌後方の機能に影響します。また、上顎義歯床口蓋後方部が厚すぎると、舌背の挙上や食塊移送を妨げます。
「サ」行は前歯部・口蓋前方の形態、「パ」行は口唇閉鎖との関係が深いため、これらが明瞭という所見も鑑別に役立ちます。
発音から見るポイント
パ行は口唇、サ・タ行は前方口蓋、カ行は舌背後方と軟口蓋付近を評価します。
選択肢の確認
a.垂直的下顎位
正しい。
垂直的下顎位が不適切だと舌房の大きさと舌の運動範囲が変わり、舌後方の食塊移送やカ行発音に影響します。
b.水平的下顎位
誤り。
水平的下顎位の異常は咬合関係全体に影響しますが、カ行のみの異常と舌後方残渣から最優先で考える項目ではありません。
c.S 字状隆起の程度
誤り。
S字状隆起はサ行などの歯擦音に関係が深く、本症例ではサ行が明瞭です。
d.リップサポートの程度
誤り。
リップサポートは顔貌やパ行・マ行など口唇音に関係しますが、パ行は明瞭です。
e.義歯床口蓋後方部の厚さ
正しい。
口蓋後方部が厚いと舌背後方の挙上を妨げ、カ行発音と食塊移送に影響します。
覚えるポイント
- カ行は舌背後方と軟口蓋付近で形成する。
- 咬合高径は舌房の大きさに影響する。
- 口蓋後方部の過厚は舌運動を妨げる。