116C069第116回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科放射線学

75 歳の女性。上顎左側第一大臼歯の動揺を主訴として来院した。1 か月前から 徐々に動揺してきたという。頸部に腫大したリンパ節は触れない。初診時の口腔内 写真(別冊No. 26A)、エックス線画像(別冊No. 26B)、CT(別冊No. 26C)及び生 検時のH-E 染色病理組織像(別冊No. 26D)を別に示す。 適切な治療はどれか。1 つ選べ

116C069の問題画像
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正解: d

正答

d

この問題のポイント

高齢者の歯の急速な動揺と顎骨破壊、病理での扁平上皮癌像から、局所制御を目的とした上顎部分切除を選びます。

解説

口腔内写真と画像では上顎臼歯部に浸潤性病変と骨破壊がみられ、病理では異型扁平上皮細胞の胞巣形成や角化が示されています。上顎歯肉・歯槽部の扁平上皮癌と考えます。

頸部リンパ節腫大がなく、切除可能な局所病変では、腫瘍を安全域とともに上顎骨ごと切除する上顎部分切除が根治治療になります。抜歯だけでは腫瘍が残存します。

病理像で見るポイント
異型上皮細胞の胞巣、角化、周囲組織への浸潤を確認します。

画像の確認

実画像では、上顎左側第一大臼歯の口蓋側に表面不整な潰瘍性腫瘤があり、CTでは同部歯槽骨から上顎洞底に及ぶ不整な骨破壊がみえる。病理像では角化真珠を形成する異型扁平上皮細胞胞巣が間質内へ入り込んでおり、骨浸潤を伴う切除可能な悪性病変として抜歯だけでなく上顎部分切除を選ぶ。

選択肢の確認

a.抜 歯
誤り。原因歯の抜歯だけでは浸潤癌を切除できず、診断・治療が遅れます。

b.化学療法
誤り。化学療法単独は切除可能な局所口腔扁平上皮癌の根治的第一選択ではありません。

c.抗菌薬投与
誤り。抗菌薬は歯性感染症に用いますが、腫瘍性骨破壊を改善しません。

d.上顎部分切除
正答。最も適切です。腫瘍を十分な安全域とともに切除する上顎部分切除が適切です。

e.レーザー照射
誤り。レーザー照射のみでは骨浸潤を伴う悪性腫瘍の根治切除になりません。

覚えるポイント

  • 歯の急速な動揺は悪性腫瘍による骨破壊でも生じる。
  • 扁平上皮癌は安全域を付けた外科切除が基本。
  • 抜歯や抗菌薬で経過をみて診断を遅らせない。

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