116B086|第116回 歯科医師国家試験 過去問
57 歳の男性。上顎右側大臼歯部の疼痛を主訴として来院した。歯科治療に対す る恐怖心が強いという。5 年前から慢性腎不全のため血液透析を受けている。診察 の結果、静脈内鎮静法下に 6 の抜歯を行うこととした。初診時の左前腕の写真(別 冊No. 38)を別に示す。 処置時の対応で正しいのはどれか。1 つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
血液透析患者では、内シャントを保護し、透析日程、出血傾向、電解質、薬剤排泄を考慮します。
解説
写真の左前腕には血液透析用の内シャントがあります。シャント側では静脈路確保、採血、血圧測定、圧迫を避けるため、血圧計のマンシェットは反対側の右上腕に装着します。観血的処置は、透析時に用いた抗凝固薬の影響が少なく全身状態も比較的安定する透析翌日に計画するのが一般的です。
画像の確認
実画像では、左前腕の皮下に蛇行して隆起する太い血管走行がみえ、血液透析用の内シャント側であることが分かる。この腕への静脈穿刺やマンシェットによる圧迫を避ける必要があるため、血圧計は反対側の右上腕に装着する。
選択肢の確認
a.静脈路は左前腕に確保する。
誤り。
左前腕はシャント側であり、静脈路確保や穿刺はシャント損傷・閉塞の危険があるため避けます。
b.抜歯は血液透析の直後に行う。
誤り。
透析直後はヘパリンなどの抗凝固作用が残り、出血リスクが高いため、抜歯時期として適しません。
c.カリウムを含有する輸液製剤を投与する。
誤り。
腎不全では高カリウム血症に注意するため、カリウム含有輸液を安易に投与しません。
d.血圧計のマンシェットは右上腕に装着する。
正しい。
シャントのない右上腕にマンシェットを装着し、左前腕の血管アクセスを保護します。
e.抗菌薬は血液透析の直前に服用するよう指示する。
誤り。
透析で除去される薬剤は投与時期や減量を調整し、一般に透析直前へ一律に指示しません。抗菌薬の種類ごとに主治医・薬剤師と確認します。
覚えるポイント
- シャント側では血圧測定、採血、静脈路確保を避ける。
- 抜歯は一般に透析翌日を選ぶ。
- 腎不全ではカリウム、出血、薬剤用量に注意する。