116A064|第116回 歯科医師国家試験 過去問
46 歳の女性。硬口蓋の腫脹を主訴として来院した。2 週前に自覚したが自発痛 はないという。左側硬口蓋に境界明瞭な膨隆を認める。初診時の口腔内写真(別冊 No. 20A)、エックス線画像(別冊No. 20B)、脂肪抑制造影MRI T1 強調像(別冊 No. 20C)及び生検時のH-E 染色病理組織像(別冊No. 20D)を別に示す。 診断名はどれか。1 つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
硬口蓋の小唾液腺腫瘍では、良性・悪性の頻度、臨床経過、造影所見、病理でみられる構成細胞を統合します。
解説
硬口蓋には小唾液腺が多く、無痛性の境界明瞭な腫脹でも唾液腺腫瘍を考えます。正答は粘表皮癌です。粘表皮癌は粘液産生細胞、類表皮細胞、中間細胞などから構成され、嚢胞状・充実性の増殖を示します。
低悪性度では比較的境界明瞭で無痛性に経過し、良性腫瘍のようにみえることがあります。そのため口蓋の腫瘤は安易に良性と判断せず、生検による診断が重要です。
病理像で見るポイント
粘液細胞、類表皮細胞、中間細胞、嚢胞腔、細胞異型、浸潤を確認します。
画像の確認
実画像では、硬口蓋に滑らかな半球状腫瘤があり、MRIで限局性に描出され、組織像では淡明な粘液細胞と類表皮様・中間細胞が混在している。この細胞構成は粘表皮癌に合い、正答cを支える。
選択肢の確認
a.口蓋膿瘍
本症例の診断とは異なります。
口蓋膿瘍では原因歯、疼痛、炎症所見、圧痛などを伴うことが多く、無痛性の唾液腺腫瘍性病変とは合いません。
b.多形腺腫
本症例の診断とは異なります。
多形腺腫は口蓋に好発する良性唾液腺腫瘍ですが、本問で選ぶ粘表皮癌とは病理学的特徴が異なります。多形腺腫では上皮・筋上皮成分と粘液腫様・軟骨様間質が重要です。
c.粘表皮癌
正答。診断に一致します。
粘表皮癌は粘液細胞、類表皮細胞、中間細胞からなる唾液腺悪性腫瘍で、口蓋小唾液腺にも生じます。
d.腺房細胞癌
本症例の診断とは異なります。
腺房細胞癌は漿液性腺房細胞への分化を示し、耳下腺に多い腫瘍です。本症例の組織像とは異なります。
e.腺様囊胞癌
本症例の診断とは異なります。
腺様囊胞癌は篩状構造や神経周囲浸潤、疼痛が特徴です。本問で選ぶ粘表皮癌の病理像とは一致しません。
覚えるポイント
- 口蓋の無痛性腫瘤でも悪性唾液腺腫瘍を考えます。
- 粘表皮癌は粘液細胞・類表皮細胞・中間細胞からなります。
- 確定診断には病理組織学的検査が必要です。