116A065|第116回 歯科医師国家試験 過去問
64 歳の女性。下顎左側第一大臼歯の歯肉腫脹を主訴として来院した。半年前か ら違和感があり、1 週前から自覚するようになったという。6 は、自発痛はない が、打診に反応がある。プロービング深さは全周3 mm 以下であった。初診時の口 腔内写真(別冊No. 21A)とエックス線画像(別冊No. 21B)を別に示す。 6 に行う処置で正しいのはどれか。1 つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
歯肉腫脹があっても、プロービングが全周3 mm以下で打診反応がある場合は、歯周病変より歯内病変を優先して考えます。
解説
症例では歯肉腫脹がありますが、プロービング深さは全周3 mm以下で、深い歯周ポケットがありません。一方、患歯には打診反応があり、画像所見を含めて歯髄壊死に続く根尖性・根分岐部の歯内病変が示唆されます。
この場合、感染源は根管内にあるため感染根管治療を行います。根管内の感染除去と洗浄・消毒によって、根尖部や副根管を介した歯肉腫脹の改善を図ります。
症例問題の解き方
歯肉が腫れているから歯周治療と決めず、歯髄生活反応、打診、ポケット形態、画像を統合します。
画像の確認
実画像では、下顎臼歯頰側歯肉に限局性の発赤・腫脹があり、デンタル像では患歯の根尖から根分岐部周囲に透過性変化がみられる。全周ポケットが浅いという設問情報と合わせ、根管内感染を除去する感染根管治療を選ぶ正答cを支える。
選択肢の確認
a.切 開
本症例の根本処置ではありません。
膿瘍が波動を示す場合には切開排膿を併用することがありますが、感染源を除く根本処置ではありません。本問では感染根管治療が適切です。
b.歯根分離
本症例の根本処置ではありません。
歯根分離は根分岐部病変や歯根ごとの予後を考えて選択する外科的処置で、まず行う処置ではありません。
c.感染根管治療
正答。適切な処置です。
深い歯周ポケットがなく打診反応を認める歯内由来病変では、根管内感染を除去する感染根管治療が適切です。
d.ファーケーションプラスティ
本症例の根本処置ではありません。
ファーケーションプラスティは根分岐部の形態修正を行う歯周外科処置で、歯内感染源を除去できません。
e.スケーリング・ルートプレーニング
本症例の根本処置ではありません。
スケーリング・ルートプレーニングは歯周病の原因となる歯根面のプラーク・歯石除去に用いますが、本症例は全周3 mm以下で歯内病変が中心です。
覚えるポイント
- 歯肉腫脹でも歯内由来病変を考えます。
- 打診は歯根膜炎症、プロービングは歯周病変を評価します。
- 感染源が根管内なら感染根管治療を行います。