116A044|第116回 歯科医師国家試験 過去問
72 歳の男性。左側上唇の変色を主訴として来院した。5 年前から自覚していた が、徐々に膨隆し、頻繁に誤咬するようになったという。膨隆部は硬結を触知し、 圧痛を認める。初診時の顔貌写真(別冊No. 9A)、口腔内写真(別冊No. 9B)、MRI T1 強調像(別冊No. 9C)及び生検時のH-E 染色病理組織像(別冊No. 9D)を別に示 す。 診断名はどれか。1 つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
長期間にわたり増大する色素性病変に硬結を伴う場合、良性色素沈着だけでなく悪性黒色腫を疑います。
解説
症例では上唇の色調変化が徐々に膨隆し、誤咬を生じ、硬結と圧痛を伴っています。単なる色素沈着よりも腫瘍性病変を考える所見です。正答は悪性黒色腫です。
口腔悪性黒色腫は口蓋や上顎歯肉に好発しますが、口唇などにも発生し得ます。色調の不均一、境界不整、増大、隆起・潰瘍、硬結などは悪性を疑う所見です。メラニンはMRI T1強調像で高信号を示すことがありますが、すべての病変で典型的とは限りません。確定診断は病理組織学的検査で行います。
病理像で見るポイント
異型メラノサイト、メラニン顆粒、上皮内進展、間質浸潤を確認します。
画像の確認
実画像では、上唇から口角部に黒色から褐色の不整な色素性腫瘤と潰瘍・痂皮様部分があり、口腔側にも黒色病変が広がっている。組織像で褐色色素を含む異型細胞が密に増殖しており、悪性黒色腫を選ぶ正答cを支える。
選択肢の確認
a.血 腫
本症例とは合いません。
血腫は外傷や出血により生じ、時間経過で色調が変化・吸収することが多く、5年間の増大と硬結を説明しにくい病変です。
b.血管腫
本症例とは合いません。
血管腫は圧迫による退色や柔らかさ、拍動などを示すことがあります。色素性で硬結を伴い徐々に増大する本症例とは一致しません。
c.悪性黒色腫
正答。最も考えられます。
長期に増大する色素性腫瘤、硬結、病理検査を要する経過から悪性黒色腫が最も考えられます。
d.色素性母斑
本症例とは合いません。
色素性母斑は一般に良性で安定した病変です。増大、膨隆、硬結を伴う場合は悪性病変を優先して鑑別します。
e.メラニン色素沈着症
本症例とは合いません。
メラニン色素沈着症は平坦な色素沈着としてみられ、腫瘤形成や硬結を通常は説明しません。
覚えるポイント
- 増大、色調不均一、境界不整、硬結は悪性を疑う所見です。
- 口腔悪性黒色腫の確定には病理診断が必要です。
- 色素性病変では血管性病変との鑑別も行います。