115D021第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床口腔外科学

17 歳の女子。下顎の腫脹を主訴として来院した。半年前から気付いていたが、 疼痛がないのでそのままにしていたという。下顎右側に骨様硬の膨隆を触れる。下 唇の知覚異常はみられない。初診時の口腔内写真 (別冊No. 2A 、エックス線画像 (別冊No. 2B 、CT (別冊No. 2C 及び生検時のH-E 染色病理組織像 (別冊No. 2 D を別に示す。 適切な治療法はどれか。 1つ選べ。

115D021の問題画像
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正解: a

正答

a

この問題のポイント

若年者の下顎に生じた広範な歯原性角化嚢胞に対し、病変を縮小して顎骨と周囲組織を温存してから摘出する治療を選びます。

解説

患者は17歳で、右側下顎の無痛性腫脹が半年かけて経過しています。骨様硬の膨隆がある一方、下唇の知覚異常はありません。急性炎症や悪性腫瘍を強く示す疼痛、急速な進行、知覚障害は提示されていません。

画像Aでは右側下顎臼歯部に粘膜の色調を保った膨隆がみられます。画像Bでは下顎右側臼歯部から後方へ広がる境界明瞭なエックス線透過像を認めます。画像Cでは病変による顎骨の膨隆と皮質骨の菲薄化を確認できます。画像Dでは薄い角化性重層扁平上皮による嚢胞壁と、基底細胞の整った配列がみられ、歯原性角化嚢胞の所見に合います。

病変が大きく若年者であるため、まず開窓して嚢胞内圧を下げ、縮小と骨新生を待ってから摘出します。これにより下顎骨の連続性や下歯槽神経、周囲歯を温存しやすくなります。歯原性角化嚢胞は再発に注意し、治療後も長期的な画像経過観察が必要です。

治療選択のポイント
病変の良悪性だけでなく、年齢、大きさ、皮質骨の状態、神経・歯との位置関係、再発リスクを総合して侵襲度を決めます。

画像の確認

実画像では、右下顎臼歯後方の膨隆、パノラマ像とCTで広い顎骨内病変と皮質骨の菲薄化がみられ、組織像は薄い嚢胞上皮と整った基底細胞層を示す。若年者の大きな嚢胞性病変をまず減圧・縮小して骨と周囲組織を温存する開窓後摘出が適し、正答aを支える。

選択肢の確認

a.開窓後摘出
正しい。
大きな嚢胞を開窓して縮小させた後に嚢胞壁を摘出する方法です。若年者の顎骨と周囲組織を温存しながら病変を除去できます。

b.皮質骨除去術
誤り。
皮質骨だけを除去しても嚢胞上皮を除去する根本治療にはなりません。骨削除が補助的に検討されることはありますが、本症例で単独の治療法にはなりません。

c.下顎辺縁切除術
誤り。
下顎の連続性を保つ切除術ですが、初発の広範な嚢胞に対しては開窓後摘出より侵襲が大きく、まず選ぶ治療ではありません。

d.下顎区域切除術
誤り。
下顎の連続性を失う根治的手術です。悪性病変や極めて侵襲的・再発性の病変で検討されますが、この若年者の初回治療としては過大です。

e.放射線治療
誤り。
歯原性角化嚢胞は良性の嚢胞性病変であり、放射線治療の適応ではありません。

覚えるポイント

  • 歯原性角化嚢胞は薄い角化上皮と基底細胞の柵状配列が特徴です。
  • 若年者の大きな病変では開窓・減圧後の摘出で組織温存を図ります。
  • 再発しやすいため、摘出後も長期経過観察が必要です。

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