115B047|第115回 歯科医師国家試験 過去問
42 歳の男性。顔の違和感を主訴として来院した。今朝洗顔時に気付いたという。 既往歴に特記事項はない。初診時の眉挙上時と口唇突出時の顔貌写真 (別冊No. 19 A、B を別に示す。 適切な治療法はどれか。 2つ選べ。

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正解: c・e
正答
c、e
この問題のポイント
急に生じた片側の眉挙上障害と口唇運動障害は、末梢性顔面神経麻痺を考える所見です。特発性顔面神経麻痺では、早期の副腎皮質ステロイド薬と末梢神経障害に対するビタミンB12が選択されます。
解説
顔面神経は、前額、眼輪筋、頰筋、口輪筋などの表情筋を支配します。末梢性顔面神経麻痺では、病変側の額のしわ寄せ、閉眼、口唇突出などが障害されます。中枢性麻痺では前額部が比較的保たれることがあるため、眉挙上の左右差は鑑別に重要です。
既往歴に特記事項がなく、急性発症した末梢性顔面神経麻痺ではBell麻痺を考えます。治療の中心は、神経浮腫と炎症を抑える副腎皮質ステロイド薬です。発症早期に開始するほど神経機能回復が期待されます。
ビタミンB12は末梢神経の代謝や髄鞘維持に関与し、末梢性神経障害に対して用いられます。なお、閉眼不全がある場合は角膜障害を防ぐため、点眼、眼軟膏、眼帯などによる眼球保護も重要です。
画像の確認
実画像では、眉挙上時に片側前額のしわ形成と眉の挙上が弱く、口唇突出時にも口輪筋運動の左右差と口唇の偏位がみられる。前額を含む片側表情筋の急性麻痺を示すため、末梢性顔面神経麻痺に対するビタミンB12と副腎皮質ステロイド薬を選ぶc、eの判断を支える。
選択肢の確認
a.冷罨法
誤り。
冷罨法は外傷直後の腫脹や疼痛の軽減に用いることがありますが、顔面神経の炎症・浮腫に対する根本的治療ではありません。
b.NSAIDs の投与
誤り。
疼痛があれば補助的に使用することはありますが、末梢性顔面神経麻痺の神経機能回復を目的とする中心治療ではありません。
c.ビタミンB12 の投与
正しい。
末梢神経の代謝を補助する目的で用いられます。顔面神経麻痺に対する補助療法の一つです。
d.カルバマゼピンの投与
誤り。
カルバマゼピンは三叉神経痛などの発作性神経障害性疼痛に用います。運動麻痺を主体とする顔面神経麻痺の治療薬ではありません。
e.副腎皮質ステロイド薬の投与
正しい。
神経の炎症と浮腫を軽減する目的で早期に投与します。特発性末梢性顔面神経麻痺の中心治療です。
覚えるポイント
- 末梢性顔面神経麻痺では、前額部を含む片側表情筋が障害されます。
- Bell麻痺では発症早期の副腎皮質ステロイド薬が重要です。
- 閉眼不全があれば角膜保護を忘れません。