9PM153第9回 公認心理師国家試験 過去問

心理学基礎-11 動機づけ:自己決定・フロー・達成動機

29 歳の男性A、精密機器製造企業の従業員。入社以降 5 年にわたり専門性の高い業務を担当していることに喜びを感じて、自主的に業務改善の提案を上司に行っていた。この行動が社内で評価され、会社は「優秀提案賞」の制度を設けて、報奨金を出すようになった。制度創設後には、A以外の社員も提案を行うようになり、Aが受賞することもあったが、他の社員が受賞する機会も増えてきた。最近のAは、「褒められないとやる気が出ない」、「報奨金をもっと増額してくれると頑張れるのに」と言うようになり、自発的な提案は減少してきた。  この現象を表す用語として、最も適切なものを 1 つ選べ。

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正解: 5

正答

5

この問題のポイント

この問題では、もともと内発的に行っていた行動に外的報酬が与えられることで、内発的動機づけが低下する現象が問われています。

Aは、専門性の高い業務に喜びを感じ、自主的に業務改善を提案していました。しかし、報奨金つきの「優秀提案賞」が制度化された後、褒められることや報奨金が動機づけの中心となり、自発的な提案が減っています。これはアンダーマイニング効果です。

解説

アンダーマイニング効果とは、もともと興味や楽しさ、達成感などの内発的動機づけによって行っていた活動に対して、報酬や評価などの外発的動機づけが強く加わることで、内発的動機づけが低下する現象です。

この事例のAは、入社以降5年間、専門性の高い業務を担当することに喜びを感じ、自主的に業務改善の提案を行っていました。これは内発的動機づけに支えられた行動です。

その後、会社が優秀提案賞を設け、報奨金を出すようになりました。制度により他の社員も提案するようになった一方で、Aは「褒められないとやる気が出ない」「報奨金をもっと増額してくれると頑張れる」と言うようになり、自発的な提案が減少しています。これは、外的報酬が目立つことで、もともとの楽しさや自律性が弱まり、内発的動機づけが低下した状態と理解できます。

産業・労働領域のポイント
職場の報酬制度は動機づけを高めることもありますが、本人の自律性や有能感を損なう形で運用されると、内発的動機づけが低下することがあります。

選択肢の確認

1.ハロー効果
判定:適切とはいえない。
ハロー効果は、ある目立つ特徴に引きずられて、他の側面の評価まで影響を受ける現象です。たとえば、第一印象が良い人を能力面でも高く評価してしまうような場合です。本事例の内発的動機づけ低下を表す用語ではありません。

2.バンドワゴン効果
判定:適切とはいえない。
バンドワゴン効果は、多くの人が支持しているものを自分も選びやすくなる現象です。流行や多数派への同調と関係します。本事例では、報奨金制度によってAの内発的動機づけが低下したことが中心です。

3.プライミング効果
判定:適切とはいえない。
プライミング効果は、先行する刺激が後続の認知や行動に影響を与える現象です。たとえば、ある言葉を見た後に関連語を思い出しやすくなる場合です。本事例の現象ではありません。

4.フレーミング効果
判定:適切とはいえない。
フレーミング効果は、同じ内容でも提示の仕方や枠組みによって判断や選択が変わる現象です。本事例では、提示の枠組みによる判断変化ではなく、外的報酬による内発的動機づけの低下が問題です。

5.アンダーマイニング効果
判定:最も適切。
アンダーマイニング効果は、内発的に行っていた活動に外的報酬が与えられることで、かえって内発的動機づけが低下する現象です。Aはもともと自主的に提案していましたが、報奨金や称賛が動機づけの中心となり、自発的提案が減っているため、最も適切です。

覚えるポイント

  • アンダーマイニング効果は、外的報酬によって内発的動機づけが低下する現象です。
  • 内発的動機づけは、興味、楽しさ、達成感、自律性に支えられます。
  • 外発的動機づけは、報酬、評価、罰、称賛などによって行動が生じることです。
  • 報酬制度は有効な場合もありますが、自律性や有能感を損なうと逆効果になることがあります。
  • ハロー効果、バンドワゴン効果、プライミング効果、フレーミング効果との違いを整理します。

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