9PM149|第9回 公認心理師国家試験 過去問
10 歳の女児A、小学 4 年生。軽度の難聴がある。Aの学習上の困難について、母親Bが教育センターに相談を申し込んだ。Bによると、Aは通常学級に在籍しているが、座席配置の調整や板書による支援などの合理的配慮を受け、小学 3 年生まで大きな問題はなかった。しかし、小学 4 年生になり、英語の授業が始まると、教師の話が聞き取れないことが増えた。さらに、国語の授業でも長文の読解が難しくなった。特に、複雑な文の構造や、抽象的な表現の理解に時間がかかり、苦労している。小学 3 年生のときに受けた、絵画語い発達検査の結果では、年齢相応であったという。 Aの学習を支援するために実施すべき心理検査として、最も適切なものを 1 つ選べ。
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2
この問題のポイント
この事例では、軽度難聴のある児童の学習支援のために、認知処理や学習到達の特徴を把握できる検査を選ぶことが重要です。
Aは通常学級に在籍し、座席配置や板書などの合理的配慮を受け、小学3年生までは大きな問題はありませんでした。しかし、小学4年生になって英語の聞き取りが難しくなり、国語でも長文読解、複雑な文構造、抽象的表現の理解に苦労しています。絵画語い発達検査では年齢相応であり、単語レベルの語いだけでは困難を十分に説明できません。
解説
KABC-Ⅱは、子どもの認知処理能力と習得度を把握するために用いられる心理検査です。継次処理、同時処理、学習、計画、知識などの側面を評価し、学習支援の手がかりを得ることができます。
この事例では、Aには軽度難聴があります。小学4年生になり、英語の授業で教師の話が聞き取りにくくなっただけでなく、国語の長文読解、複雑な文構造、抽象的な表現の理解にも時間がかかっています。これは、単に音が聞こえにくいという問題だけでなく、言語理解、情報処理、学習方法、授業での支援のあり方を総合的に検討する必要がある状態です。
KABC-Ⅱを用いることで、Aがどのような情報処理を得意とし、どのような学習課題で支援を必要とするかを把握できます。その結果を基に、視覚的支援、板書、要点の整理、語句や文構造の明示、英語音声への補助など、具体的な合理的配慮や学習支援につなげやすくなります。
アセスメントの視点
学習支援のための検査では、診断名を決めることだけが目的ではありません。本人の得意な処理、苦手な処理、授業で必要な配慮を明らかにすることが重要です。
選択肢の確認
1.Conners 3
判定:適切とはいえない。
Conners 3 は、注意欠如多動症などの不注意、多動性、衝動性、行動上の問題を評価する尺度です。本事例では、注意欠如多動症の特徴よりも、難聴を背景にした聞き取りや読解の困難、認知処理と学習支援の把握が中心です。
2.KABC-Ⅱ
判定:最も適切。
KABC-Ⅱは、子どもの認知処理や習得度を把握し、学習支援に活かすことができる検査です。Aは語いが年齢相応である一方、英語の聞き取り、長文読解、複雑な文構造、抽象表現の理解に困難があります。学習支援方針を立てるために最も適切です。
3.SCT
判定:適切とはいえない。
SCT は文章完成法で、未完成の文に続く内容を書いてもらい、性格傾向や心理的テーマを理解するために用いられる投映法です。学習上の困難を具体的に支援するための認知処理や習得度の評価としては適切ではありません。
4.Vineland-Ⅱ
判定:適切とはいえない。
Vineland-Ⅱは、適応行動を評価する尺度で、コミュニケーション、日常生活スキル、社会性などを把握します。本事例では、生活適応全般よりも、学習支援に必要な認知処理と学習上の特徴を評価することが中心です。
5.WMS-R
判定:適切とはいえない。
WMS-R は、主に成人の記憶機能を評価する検査です。Aは10歳の小学生であり、学習支援のためには子どもの認知処理や習得度を評価できる KABC-Ⅱ がより適切です。
覚えるポイント
- KABC-Ⅱは、子どもの認知処理と習得度を把握し、学習支援に活かす検査です。
- 難聴のある児童では、聞こえだけでなく、言語理解、読解、授業環境、合理的配慮を総合的に考えます。
- 絵画語いが年齢相応でも、長文読解や抽象表現の理解に困難が出ることがあります。
- Conners 3は ADHD 関連の評価、Vineland-Ⅱは適応行動の評価です。
- 検査結果は、座席配置、視覚支援、板書、教材提示、聞き取り支援など具体的配慮につなげます。