8AM65|第8回 公認心理師国家試験 過去問
精神疾患とその治療-07 精神病症:統合失調症・短期精神病・幻覚妄想
40 歳の女性A、会社員。営業成績は優秀である。大学卒業以来、一人暮らし。ストーカー被害を訴え、警察署を訪れた。Aによると、隣人BがAに好意を抱いており、A宅の周囲をうろついているという。被害を訴えるAの様子は落ち着いていた。Aの話を聞いた警察は、B宅を訪問したが、BはAの話を否定した。さらに警察は、周辺住民への聞き込みを実施したが、Aの主張を裏付ける情報は得られなかった。一方で、AがB宅の前を徘徊していたり、B宅の郵便受けを覗き込んだりしていたことが判明した。警察はAに、Bによるストーカー行為の証拠は見つからなかったと伝えたが、Aは納得しない。 ``` Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。
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正解: 3
## 正答
3
## この問題のポイント
この問題では、比較的保たれた社会機能の中で、限局した妄想が持続している状態から**妄想性障害**を判断することが問われています。
事例のキーワードは、「BがAに好意を抱いているという確信」「裏付け情報がない」「本人は納得しない」「営業成績は優秀」「様子は落ち着いている」です。
## 解説
**妄想性障害**では、体系化された妄想が持続しますが、統合失調症にみられるような著しい思考のまとまりのなさ、陰性症状、奇異な行動が目立たないことがあります。妄想に関連しない領域では、比較的社会機能が保たれている場合があります。
Aは、隣人Bが自分に好意を抱き、自宅周囲をうろついていると訴えています。しかし、Bは否定し、周辺住民からもAの主張を裏付ける情報は得られていません。むしろ、AがB宅の前を徘徊したり、郵便受けを覗き込んだりしていたことが判明しています。
それでもAは、Bによるストーカー行為の証拠は見つからなかったという説明に納得していません。一方で、Aは営業成績が優秀で、警察での訴え方も落ち着いています。これは、広範な機能低下よりも、限局した妄想が中心の妄想性障害として理解するのが最も適切です。
> 事例問題で見るポイント
> 妄想性障害では、妄想の内容だけでなく、社会機能がどの程度保たれているか、幻覚や思考障害、陰性症状が目立つかを確認します。
## 選択肢の確認
1.強迫性障害
判定:適切とはいえない。
強迫性障害では、自分でも不合理だと感じる強迫観念や、それを打ち消すための強迫行為がみられます。AはBが自分に好意を抱きストーカーしていると確信しており、強迫観念というより妄想として理解されます。
2.統合失調症
判定:適切とはいえない。
統合失調症では、幻覚、妄想、思考のまとまりにくさ、陰性症状、生活機能低下などがみられます。Aには限局した妄想はありますが、営業成績は優秀で、全般的な機能低下やまとまりのない言動は示されていません。
3.妄想性障害
判定:最も適切。
Aは、裏付けがないにもかかわらず、Bが自分に好意を持ちストーカーしているという確信を持ち続けています。一方で社会機能は比較的保たれており、妄想性障害として理解するのが適切です。
4.妄想性パーソナリティ障害
判定:適切とはいえない。
妄想性パーソナリティ障害では、他者への不信や疑い深さが広範で持続的なパーソナリティ傾向としてみられます。本事例では、Bに関する限局した妄想的確信が中心であり、妄想性障害が適切です。
5.統合失調型パーソナリティ障害
判定:適切とはいえない。
統合失調型パーソナリティ障害では、奇異な信念、風変わりな行動、対人関係の困難などが長期的にみられます。Aの病態は、Bに関する持続的な妄想が中心です。
## 覚えるポイント
* **妄想性障害**は、限局した妄想が持続し、妄想以外の機能が比較的保たれることがあります。
* 統合失調症との鑑別では、幻覚、思考障害、陰性症状、全般的機能低下を確認します。
* 強迫性障害では、本人が不合理性を感じる強迫観念と強迫行為が中心です。