8AM71第8回 公認心理師国家試験 過去問

心理学基礎-17 自己・現実感・潜在態度

16 歳の男子A、高校1 年生。「気分が良くない」と訴えて、高校のスクールカウンセラーBのもとを訪れた。Aによると、1か月前に突然、目に映る風景がよそよそしく、映画の撮影所のセットのように感じられるようになった。周囲と自分がカーテンのようなもので切り離され、眼の前の物がぼんやりと見えたこともあった。Aとしては、思い当たるようなきっかけは特になかったという。このような奇妙な感覚は、1週間ほど断続的に生じた後、一度は自然に消失した。しかし、3日前から再び現れ始め、周囲の物の色や質感が、以前とは違って見えることがあるとBに語った。 ```  Aに認められる症状として、最も適切なものを1つ選べ。

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正解: 5


## 正答

5

## この問題のポイント

この問題では、外界が現実味を失って感じられる**現実感消失**を、事例の訴えから判断することが問われています。

事例のキーワードは、「風景がよそよそしい」「映画の撮影所のセットのよう」「周囲と自分がカーテンで切り離される」「物の色や質感が以前と違って見える」です。

## 解説

**現実感消失**とは、周囲の世界が現実ではないように感じられる、遠く感じられる、ぼんやりする、人工的に感じられるなど、外界の現実感が低下する体験です。

Aは、目に映る風景がよそよそしく、映画の撮影所のセットのように感じられると話しています。また、周囲と自分がカーテンのようなもので切り離されている感覚や、物の色や質感が以前とは違って見える感覚も訴えています。

これは、外界の知覚が奇妙に変化し、現実感が失われる体験であり、現実感消失として理解するのが最も適切です。

なお、現実感消失は強い不安、ストレス、解離症状、精神病性障害の前駆的状態など、さまざまな文脈でみられ得ます。スクールカウンセラーは、症状の持続、頻度、苦痛の程度、自傷リスク、睡眠、学校生活、家庭状況を確認し、必要に応じて医療機関につなぎます。

> アセスメントの視点
> 「見えるものが変」でも、幻覚、錯覚、現実感消失、妄想気分では意味が異なります。本人がどのように体験しているかを丁寧に確認します。

## 選択肢の確認

1.強迫観念
判定:適切とはいえない。
強迫観念は、自分でも不合理だと感じながらも繰り返し浮かび、不安や苦痛を生じさせる考えです。Aは考えが繰り返し浮かぶのではなく、外界の現実感が変化して感じられると訴えています。

2.作為体験
判定:適切とはいえない。
作為体験は、自分の考えや行動が外部から操作されているように感じる体験です。Aには、誰かに操られているという訴えはありません。

3.失感情症
判定:適切とはいえない。
失感情症は、自分の感情を認識したり言語化したりすることが乏しい状態です。本事例では、感情表現の困難ではなく、外界の現実感の変化が中心です。

4.妄想気分
判定:適切とはいえない。
妄想気分は、周囲に何か意味ありげで不気味な感じがするが、まだ具体的な妄想内容にはまとまっていない状態です。Aの訴えは、世界が非現実的に感じられる体験であり、現実感消失が最も適切です。

5.現実感消失
判定:最も適切。
周囲の風景が映画のセットのように感じられる、カーテンで切り離されたように感じる、物の色や質感が違って見えるという体験は、外界の現実感が失われる現実感消失に合致します。

## 覚えるポイント

* **現実感消失**は、外界が現実ではないように感じられる体験です。
* 作為体験は、自分の考えや行動が外部に操作される感覚です。
* 妄想気分は、周囲が意味ありげで不気味に感じられる状態として区別します。

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