8AM64第8回 公認心理師国家試験 過去問

神経・生理心理学-04 感覚・運動・平衡の神経生理

65 歳の男性A。活気がなくなったことを心配した妻Bに伴われて、心療内科クリニックを受診した。Bによると、Aは1年ほど前から動作が徐々に鈍くなっており、自宅で転倒することも増えているという。医師Cの診察中、Aは表情に乏しく、返事が聞き取りにくい状態であった。膝の上に置かれた両手は小さく震えていた。歩行時の姿勢は前傾気味で、歩幅は小さかった。四肢の麻痺や筋力の低下はなかったが、CがAの肘や膝の関節の曲げ伸ばしをしようとすると、がくがくと断続的な抵抗感が認められた。不眠や立ちくらみ、便秘などの症状もあるという。現在服用中の薬物はない。 ```  Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。

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正解: 3


## 正答

3

## この問題のポイント

この問題では、運動症状と自律神経症状から**パーキンソン病**を判断することが問われています。

事例のキーワードは、「動作が徐々に鈍い」「転倒」「表情に乏しい」「小さな震え」「前傾姿勢」「小刻み歩行」「歯車様の抵抗感」「便秘、立ちくらみ」です。

## 解説

**パーキンソン病**は、中脳黒質のドパミン神経細胞の変性に関連する神経変性疾患です。

代表的な運動症状には、振戦、筋強剛、無動・寡動、姿勢反射障害があります。Aには、両手の小さな震え、動作の鈍さ、表情の乏しさ、聞き取りにくい返事、前傾姿勢、小刻みな歩行、転倒の増加がみられます。

また、医師が肘や膝を曲げ伸ばししたとき、がくがくと断続的な抵抗感があったとされています。これは歯車様筋強剛を想起させる所見です。

さらに、不眠、立ちくらみ、便秘といった自律神経症状もパーキンソン病でみられることがあります。現在服用中の薬物がないため、薬剤性パーキンソニズムよりもパーキンソン病として理解するのが適切です。

> 医療・保健領域のポイント
> パーキンソン病では、振戦、筋強剛、無動、姿勢反射障害を押さえます。便秘や起立性低血圧などの非運動症状も重要です。

## 選択肢の確認

1.重症筋無力症
判定:適切とはいえない。
重症筋無力症では、筋力が疲労によって低下しやすく、眼瞼下垂や複視などがみられることがあります。Aには筋力低下ではなく、振戦、筋強剛、小刻み歩行などがみられるため、パーキンソン病が適切です。

2.ハンチントン病
判定:適切とはいえない。
ハンチントン病では、舞踏運動、認知機能低下、精神症状などがみられます。Aの症状は舞踏運動ではなく、寡動、振戦、筋強剛、小刻み歩行が中心です。

3.パーキンソン病
判定:最も適切。
Aには、動作緩慢、振戦、前傾姿勢、小刻み歩行、歯車様筋強剛を疑う抵抗感、自律神経症状がみられます。パーキンソン病として理解するのが最も適切です。

4.筋ジストロフィー
判定:適切とはいえない。
筋ジストロフィーは、進行性の筋力低下を特徴とする筋疾患です。Aには四肢の麻痺や筋力低下はなく、パーキンソン病の運動症状が中心です。

5.筋萎縮性側索硬化症
判定:適切とはいえない。
筋萎縮性側索硬化症では、筋萎縮、筋力低下、球麻痺症状、上位・下位運動ニューロン徴候などがみられます。Aの小刻み歩行や振戦、筋強剛とは異なります。

## 覚えるポイント

* **パーキンソン病**の主症状は、振戦、筋強剛、無動・寡動、姿勢反射障害です。
* 前傾姿勢、小刻み歩行、表情の乏しさ、歯車様筋強剛が手がかりです。
* 便秘、立ちくらみ、不眠などの非運動症状も確認します。

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