8AM60|第8回 公認心理師国家試験 過去問
発達心理学-07 老年期・喪失・悲嘆
90 歳の男性A、一人暮らし。妻に先立たれた寂しさも徐々に和らぎ、地域の支援を利用できるなら、一人で過ごす時間も悪くないと思えてきた。そうした時間には、自分が生きてきた過去よりも、むしろ、自分が生まれる以前の先祖の来歴を思うことが増え、改めて家系を詳しく調べ始めている。また、今までに妻や親など、家族を様々な病気で亡くしたため、未来を生きる人々の健康に少しでも役立ちたいと社会貢献を望んでいる。 ``` Aの心理の説明として、最も適切なものを1つ選べ。
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正解: 3
## 正答
3
## この問題のポイント
この問題では、高齢期における心理的変化としての**老年的超越**が問われています。
事例のキーワードは、「一人で過ごす時間も悪くない」「自分が生まれる以前の先祖の来歴」「未来を生きる人々への社会貢献」です。
## 解説
**老年的超越**は、高齢期において、自己中心的・物質的な価値観から離れ、より宇宙的、世代的、超越的な視点へと関心が移っていく心理的変化を表す概念です。
Aは90歳で、一人暮らしをしています。妻に先立たれた寂しさは徐々に和らぎ、地域支援を利用しながら一人で過ごす時間も受け止められるようになっています。
さらに、Aは自分自身の過去だけでなく、自分が生まれる以前の先祖の来歴に関心を向けています。また、未来を生きる人々の健康に役立ちたいと社会貢献を望んでいます。
これは、現在の自分だけでなく、過去の世代や未来の世代とのつながりを意識し、より広い時間的・世代的視点を持つ状態です。老年的超越の説明として最も適切です。
> 高齢者支援のポイント
> 老年的超越は、単なる孤立や意欲低下ではありません。人生、世代、死生観、社会貢献への関心が深まる高齢期の心理的成熟として理解します。
## 選択肢の確認
1.老性自覚
判定:適切とはいえない。
老性自覚は、自分が老いたことを自覚することです。Aには高齢期の自己理解がありますが、先祖や未来世代への関心、社会貢献への志向を説明する概念としては老年的超越が適切です。
2.エイジズム
判定:適切とはいえない。
エイジズムは、年齢に基づく偏見や差別を指します。Aの心理は年齢差別ではなく、高齢期における価値観や時間意識の変化です。
3.老年的超越
判定:最も適切。
Aは、自分の過去だけでなく先祖や未来世代に思いを向け、社会貢献を望んでいます。高齢期における広い時間的・世代的視点への移行として、老年的超越が最も適切です。
4.あいまいな喪失
判定:適切とはいえない。
あいまいな喪失は、身体的には不在だが心理的には存在する、または身体的には存在するが心理的には不在であるような、明確に区切れない喪失を指します。Aの妻の死別後の心理を一部考えることはできますが、事例の中心は老年的超越です。
5.レミニセンス・バンプ
判定:適切とはいえない。
レミニセンス・バンプは、高齢者が青年期から成人初期の出来事を多く思い出しやすい現象です。Aは自分の青年期ではなく、先祖や未来世代に関心を向けているため該当しません。
## 覚えるポイント
* **老年的超越**は、高齢期に世代や時間を超えた広い視点へ関心が向く心理的変化です。
* 先祖、未来世代、死生観、社会貢献への関心が手がかりになります。
* エイジズムは年齢差別、レミニセンス・バンプは若年期記憶の想起の偏りです。