38Q57第38回 介護福祉士国家試験 過去問

介護生活支援技術

Aさん(83歳、女性、要介護3)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で左片麻痺{ひだりかたまひ}があり、介護老人福祉施設に入所している。ある日の夜間、仰臥位{ぎょうがい}(背臥位{はいがい})で寝ていたAさんが、「背中が重く感じて、眠れない」と介護福祉職に訴えた。 次の記述のうち、介護福祉職がAさんに行う介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 4

正答

4.右側臥位{みぎそくがい}にして、クッションを抱いてもらう。

この問題のポイント

仰臥位で背中に重さを感じている利用者に対し、背部への圧迫を減らし、左片麻痺のある身体を安定させる体位を選ぶ問題です。

右側臥位に体位変換すると、背中や仙骨部に集中していた圧を分散できます。クッションを抱くことで、上側になる左上肢と体幹を支え、安楽な姿勢を保ちやすくなります。

解説

同じ仰臥位が続くと、後頭部、肩甲部、仙骨部、踵などに圧が集中し、重苦しさ、痛み、皮膚障害につながります。Aさんが「背中が重く感じて、眠れない」と訴えているため、まず本人の希望を聞き、安全に体位を変えて背部の圧迫を減らします。

左片麻痺のAさんを右側臥位にすると、非麻痺側である右側を下にして比較的安定した姿勢をとりやすくなります。上側になる左上肢をクッションの上に置くように抱えてもらうと、麻痺側の肩が後方へ引かれたり、腕の重みで肩関節に負担がかかったりすることを防ぎやすくなります。

体位変換後は、頭頸部、肩、骨盤、下肢がねじれていないか、下になった右肩や耳、股関節に強い圧がかかっていないかを確認します。必要に応じて背部、両膝の間、足部にもクッションを入れます。皮膚の発赤、痛み、呼吸状態、麻痺側の位置を観察し、定期的に体位を調整します。

介護実践でのポイント
「片麻痺だからこの姿勢」と一律に決めず、本人の楽な向き、痛み、呼吸、皮膚状態を確認します。急な強い痛み、胸苦しさ、呼吸困難などがあれば、体位調整だけで済ませず医療職へ報告します。

選択肢の確認

1.ファーラー位にして、左下肢にクッションを入れる。
適切ではありません。
ファーラー位は上半身を起こす姿勢で、呼吸を楽にする場合などに用います。背上げによって身体がずれると仙骨部にずれの力が加わることがあり、左下肢だけを支えても背中の圧迫感を十分に軽減できません。

2.両上肢の下に、クッションを入れる。
適切ではありません。
上肢を支えることは肩や腕の安楽に役立ちますが、仰臥位のままでは背中や仙骨部への圧が残ります。今回の主訴である背中の重さへの対応としては不十分です。

3.両膝窩部{りょうしつかぶ}に、クッションを入れる。
適切ではありません。
膝を軽く曲げると腰部が楽になることはありますが、膝窩部だけを長時間圧迫すると血流を妨げたり、膝の屈曲拘縮につながったりするおそれがあります。背部の圧を除く体位変換が優先されます。

4.右側臥位{みぎそくがい}にして、クッションを抱いてもらう。
正答。最も適切です。
背部への圧を分散し、非麻痺側を下にして姿勢を安定させます。クッションで上側の左上肢と体幹を支えることで、麻痺側の肩への負担を減らし、安楽に休みやすくなります。

5.右下肢の足部に、クッションを入れる。
適切ではありません。
足部の位置を整えるだけでは、背中の重さや仰臥位による圧迫は解消されません。また、左片麻痺であるのに右足部だけを支える根拠もありません。

覚えるポイント

仰臥位で背部の圧迫感があるときは、本人の希望を確認し、側臥位などへ体位変換して圧を分散します。

片麻痺の側臥位では、麻痺側の上肢をクッションで支え、肩関節を保護します。

体位変換後は、姿勢のねじれ、皮膚、痛み、呼吸状態を確認し、同じ部位への圧が続かないよう調整します。

関連問題

38Q5638Q58
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)