34Q39第34回 介護福祉士国家試験 過去問

介護生活支援技術

Mさん(84歳、男性)は、10年前に脳梗塞(cerebral infarction)で右片麻痺(みぎかたまひ)になり、右上肢の屈曲拘縮がある。今までは自分で洋服を着ていたが、1週間ほど前から左肩関節の周囲に軽い痛みを感じるようになり、上着の着脱の介護が必要になった。 Mさんへの上着の着脱の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 4

正答

4.右肘に袖を通すときは、前腕を下から支える。

この問題のポイント

片麻痺と関節拘縮のある利用者の更衣では、患側上肢を引っ張らず、広い面で下から支え、痛みのない範囲でゆっくり動かします。

更衣の基本は「着るときは患側から、脱ぐときは健側から」です。Mさんでは右側が麻痺側で、右上肢には屈曲拘縮があり、左肩には新たな痛みがあるため、両側の状態を観察しながら負担を最小限にします。

解説

右上肢に麻痺と屈曲拘縮があるMさんへ上着を着せるときは、右手、前腕、肘を安定させ、衣類の袖を右上肢へたぐり寄せるように通します。右肘に袖を通す際、前腕を下から面で支えると、麻痺側上肢の重みを支えながら関節への負担を減らせます。

片麻痺の更衣では、着衣は動かしにくい患側から袖を通し、その後に健側を通します。脱衣は反対に、動かしやすい健側から脱ぎ、最後に患側を抜きます。Mさんの患側は右なので、脱ぐときに右上肢から先に抜く方法は不適切です。

手首だけを指先に力を入れてつかむと、狭い部分へ圧力が集中し、痛み、皮膚損傷、関節への負担につながります。前腕や手を下から支え、上肢全体を安定させます。

拘縮のある右肘を素早く伸ばすと、痛みや損傷を生じさせたり、筋緊張を高めたりするおそれがあります。本人に声をかけ、表情や痛みを確認しながら、可動域を超えない範囲でゆっくり動かします。衣類は、一般にかぶり式より前開きで、ゆとりや伸縮性があるもののほうが着脱しやすくなります。

ひっかけポイント

「脱ぐときも患側から」と混同しないようにします。基本は「着患脱健」、すなわち、着るときは患側から、脱ぐときは健側からです。また、拘縮した関節を力や速さで伸ばしてはいけません。

介護実践でのポイント

更衣前に痛みと可動域を確認し、本人ができる動作を生かします。袖を腕に無理に押し込んだり上肢を引っ張ったりせず、衣類をたぐり寄せます。新たに生じた左肩の痛みが続く、強くなる、腫れや熱感を伴う場合は記録し、看護職や医師などへ報告します。

選択肢の確認

1.服を脱ぐときは、右上肢から脱ぐ。

誤りです。
右上肢は麻痺と拘縮のある患側です。脱ぐときは、原則として動かしやすい健側である左上肢から先に脱ぎ、患側の右上肢は最後に抜きます。

2.右手首に袖を通すときは、介護福祉職の指先に力を入れて手首をつかむ。

誤りです。
指先に力を入れて手首をつかむと、圧力が集中し、痛みや皮膚・関節の損傷につながります。手や前腕を下から面で支えます。

3.右肘関節を伸展するときは、素早く動かす。

誤りです。
拘縮した関節を素早く動かすと、痛みや損傷、筋緊張の増加を招くおそれがあります。本人の反応を確認し、可動域の範囲内でゆっくり動かします。

4.右肘に袖を通すときは、前腕を下から支える。

正しいです。
麻痺側の前腕を下から支えることで上肢を安定させ、肘や肩への負担を抑えながら安全に袖を通せます。

5.衣類を準備するときは、かぶり式のものを選択する。

誤りです。
麻痺、拘縮、左肩の痛みがあるMさんには、一般に前開きでゆとりのある衣類のほうが着脱しやすいと考えられます。衣類は本人の希望と身体状況に合わせて選びます。

覚えるポイント

  • 片麻痺の更衣の基本は「着患脱健」である。
  • 着るときは患側から袖を通し、脱ぐときは健側から袖を抜く。
  • 麻痺側上肢は引っ張らず、前腕などを下から面で支える。
  • 拘縮のある関節は、可動域を超えず、痛みを確認しながらゆっくり動かす。
  • 衣類は、本人の好みを尊重し、前開き、ゆとり、伸縮性などを検討する。

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