38Q112|第38回 介護福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題112、問題113について答えなさい。 〔事 例〕 Aさん(50歳、男性、障害支援区分3)は、中度の知的障害がある。身体機能に問題はないが、遂行機能に障害がある。短い言葉での意思表示はできる。両親は亡くなっている。姉が近くに住んでいるが、同居は難しく、共同生活援助(グループホーム)へ入居した。入居時に短期目標を「生活のリズムを整える」と設定し、順調に進んでいた。日中は就労継続支援B型事業所に通っている。 共同生活援助(グループホーム)の生活に慣れてきた頃、Aさんは日中活動を休むようになった。心配した生活支援員が居室を訪ねると、Aさんが、「昨日も、遊びに来た隣室の友人が、散らかっている部屋を見て笑った。前はきれいにできていたのに」と自信をなくしている様子であった。 生活支援員がAさんの居室を確認すると、趣味で集めているアニメグッズや衣服が増えていて、きれいにしていた自室内に散乱していた。 次のうち、日中活動を休むようになったAさんの状態を理解するために必要な情報として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 3
正答
3.Aさんが自信をなくした理由
この問題のポイント
Aさんが日中活動を休むようになったという変化を理解するには、行動の背景にある本人の思いや体験を把握する必要があります。
事例では、部屋を整理できなくなったことや友人に笑われたことにより、Aさんが自信をなくしている様子が示されています。その理由を本人から丁寧に確認することが重要です。
解説
アセスメントでは、目に見える行動だけで利用者を評価してはいけません。「日中活動を休む」という行動にも、本人なりの理由や、それまでの生活からの変化があります。本人の言葉、生活状況、心身機能、環境、人間関係を関連づけて理解します。
Aさんは身体機能には問題がありませんが、遂行機能に障害があります。遂行機能とは、目的に向けて計画を立て、手順を考え、行動し、途中で確認や修正をしながら完了するための機能です。身体を動かせても、物を分類する、片づける順序を決める、作業を始めて最後まで続けるといったことが難しくなる場合があります。
Aさんの部屋には、趣味で集めたアニメグッズや衣服が増えています。物が増えたことによって整理に必要な判断や手順が複雑になり、以前は保てていた部屋の状態を維持しにくくなった可能性があります。しかし、原因を支援者だけで決めつけてはいけません。
Aさんは「前はきれいにできていたのに」と話し、友人に散らかった部屋を笑われた経験を伝えています。自分の以前の状態と現在を比べて失敗感を抱いたのか、友人の言葉で傷ついたのか、片づけ方が分からず困っているのかなど、自信をなくした理由を具体的に確認する必要があります。その情報が、日中活動を休むようになった心理状態と必要な支援を理解する手がかりになります。
Aさんには、短い言葉で意思を伝えられること、以前は部屋をきれいにできていたこと、アニメグッズを集めるという好きな活動があること、これまで日中活動に通えていたことなどの強みがあります。短い言葉や具体的な選択肢、写真、実物などを用いて本人の話を聴き、できなくなった点だけでなく、どのような条件ならできるのかを確認します。
ひっかけポイント
支援者が知りたい周辺情報ではなく、Aさんの日中活動の欠席と心理状態を直接理解するために必要な情報を選びます。
介護実践でのポイント
知的障害があることを理由に本人への確認を省略してはいけません。理解しやすい言葉で一度に一つずつ尋ね、答えを急がせず、本人の意思が表れやすい方法を工夫します。
選択肢の確認
1.Aさんの姉の家族構成
誤りです。 姉の家族構成は生活背景の一部ですが、Aさんが自信をなくし、日中活動を休むようになった変化を直接理解する情報ではありません。
2.隣室の友人がAさんの部屋に行った時間
誤りです。 訪室した時刻よりも、そのときに何があり、Aさんがどのように受け止めたのかが重要です。時刻だけでは、自信をなくした理由や欠席との関係を理解できません。
3.Aさんが自信をなくした理由
正しいです。 日中活動を休むようになった背景には、自室を以前のように整えられないことや、友人に笑われた経験による自信の低下が関係していると考えられます。本人が何につらさや困難を感じているのかを確認することが、状態の理解と支援につながります。
4.生活支援員がAさんの部屋を訪ねた心情
誤りです。 生活支援員の心情ではなく、支援の対象であるAさんの気持ち、生活上の変化、困難の理由を把握する必要があります。
5.Aさんが隣室の友人と遊ぶことになった理由
誤りです。 友人関係を把握することは必要な場合もありますが、一緒に遊ぶことになった理由は、Aさんの自信低下や日中活動の欠席を直接説明する情報ではありません。
覚えるポイント
- 行動の変化を理解するときは、本人が体験した出来事と感情を確認する。
- 遂行機能に障害があると、計画、手順化、実行、確認や修正が難しくなることがある。
- 身体機能に問題がないことと、一連の生活行為を一人で行えることは同じではない。
- 本人の失敗だけでなく、以前できていたこと、好きなこと、意思を伝える力などの強みも把握する。
- 本人に合った言葉、写真、実物、選択肢などを用いて意思決定を支援する。