38Q113第38回 介護福祉士国家試験 過去問

介護介護過程

次の事例を読んで、問題112、問題113について答えなさい。 〔事 例〕 Aさん(50歳、男性、障害支援区分3)は、中度の知的障害がある。身体機能に問題はないが、遂行機能に障害がある。短い言葉での意思表示はできる。両親は亡くなっている。姉が近くに住んでいるが、同居は難しく、共同生活援助(グループホーム)へ入居した。入居時に短期目標を「生活のリズムを整える」と設定し、順調に進んでいた。日中は就労継続支援B型事業所に通っている。 共同生活援助(グループホーム)の生活に慣れてきた頃、Aさんは日中活動を休むようになった。心配した生活支援員が居室を訪ねると、Aさんが、「昨日も、遊びに来た隣室の友人が、散らかっている部屋を見て笑った。前はきれいにできていたのに」と自信をなくしている様子であった。 生活支援員がAさんの居室を確認すると、趣味で集めているアニメグッズや衣服が増えていて、きれいにしていた自室内に散乱していた。 後日、カンファレンスが開かれ、短期目標についての見直しが検討された。次の記述のうち、見直された短期目標として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 5

正答

5.自室を整理整頓する。

この問題のポイント

短期目標は、再アセスメントで明らかになった本人の生活上の課題に基づき、本人が到達する状態として設定します。

Aさんは自室を以前のようにきれいにできないことに困り、自信をなくしています。そのため、現在の生活課題に直接対応する「自室を整理整頓する」が最も適切です。

解説

短期目標は、利用者が望む生活の実現に向けて、現在の生活課題から長期目標へ近づくための具体的な段階を示すものです。支援者がさせたいことや、問題を一時的に見えなくする方法ではなく、本人の意思、強み、生活状況、心身機能、環境に基づいて設定します。

Aさんは、趣味で集めているアニメグッズや衣服が増えたことで、自室を整理することが難しくなっています。「前はきれいにできていたのに」と話していることから、現在の状態を本人も望ましくないと感じ、自信をなくしていることが分かります。

一方で、Aさんには身体機能上の問題がなく、以前は自室をきれいにできていたという力があります。短い言葉で自分の気持ちを伝えることもできます。このような強みを活かし、本人の同意を得ながら自室の整理整頓を目標にすることが適切です。

遂行機能に障害があるため、「片づけてください」と一度に任せるだけでは難しい可能性があります。アニメグッズと衣服を分ける、収納場所を写真や絵で示す、作業を小さな手順に分ける、本人と一緒に一つずつ片づけるなどの支援が考えられます。収納場所や物の量が現在の生活に合っているかという環境面も検討します。

アニメグッズを集めることはAさんの趣味であり、本人にとって大切な活動です。整理が難しくなったからといって、支援者が趣味を変更させたり、本人の同意なく物を処分したりしてはいけません。好きな物を大切にしながら、自分で分かりやすく管理できる方法を本人と一緒に考えます。

選択肢5は、この中では生活課題に最も合った目標です。ただし、実際の個別支援計画では、「いつまでに」「どのような支援を受けて」「どのような状態になるか」をさらに具体化します。例えば、収納場所を本人と決め、生活支援員と一緒に衣服とアニメグッズを所定の場所へ戻せる状態を目指すなど、達成度を評価できる表現にします。

ひっかけポイント
「部屋の隅に寄せる」は一時的な作業方法であり、整理整頓された生活状態という目標ではありません。支援方法と利用者の到達目標を区別します。

介護実践でのポイント
目標を達成できない場合も、本人の努力不足と決めつけません。手順の難しさ、収納環境、物の量、支援方法などを見直し、成功しやすい小さな段階に調整します。

選択肢の確認

1.趣味を変更する。

誤りです。 アニメグッズを集めることはAさんの趣味であり、本人の好みや生活の楽しみです。物が増えたことへの支援として、本人の趣味そのものを変更させるのは適切ではありません。

2.現在の自室の状態を維持する。

誤りです。 現在は物が散乱し、Aさん自身も以前のようにきれいにできないことに困っています。現在の状態を維持することは、本人の困りごとの改善や自信の回復につながりません。

3.衣服を部屋の隅に寄せる。

誤りです。 衣服を隅へ移動するだけでは整理整頓とはいえず、つまずきや衛生上の問題が残る可能性もあります。また、これは限定的な作業方法であり、本人が到達する生活上の目標として不十分です。

4.日中活動の事業所を変更する。

誤りです。 日中活動を休む背景には、自室を整理できなくなったことによる自信の低下があると考えられます。現在の事業所に問題があるという情報はなく、原因を検討せず事業所を変更するのは適切ではありません。

5.自室を整理整頓する。

正しいです。 Aさんが困っている現在の自室の状態に直接対応し、以前できていたことを強みとして活かせる目標です。本人が理解しやすい方法と必要な支援を組み合わせて実現を目指します。

覚えるポイント

  • 短期目標は、アセスメントで明らかになった具体的な生活課題から設定する。
  • 目標の主体は利用者であり、本人が到達する生活上の状態を示す。
  • 本人の以前できていたことや好きなことを強みとして活かす。
  • 遂行機能の障害には、作業の細分化、視覚的な手がかり、分かりやすい収納環境などを活用する。
  • 趣味や所有物を支援者の判断だけで変更・処分せず、本人の意思を確認する。
  • 実際の計画では、期限、条件、支援方法、評価できる到達状態を具体化する。

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