36Q45第36回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ認知症の理解

認知機能障害による生活への影響に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 3

正答

3.相貌失認により、目の前の家族がわからない。

この問題のポイント

認知機能障害の名称と、それによって起こる具体的な生活上の困難を対応させる問題です。

相貌失認は、視力が保たれていても、顔を見ただけではその人が誰であるかを認識しにくくなる状態です。そのため、目の前にいる家族を顔から判別できないことがあります。

解説

認知症では、記憶障害だけでなく、見当識障害、遂行機能障害、失行、失認、視空間認知障害、病識の低下など、さまざまな認知機能障害が生活に影響します。

相貌失認は、見慣れた人の顔を見ても誰かわからない状態です。声、話し方、服装、髪型など、顔以外の手がかりを使うとわかることがあります。家族を認識できないときも、本人が家族を大切に思っていないという意味ではありません。

遂行機能障害は、目的を立て、手順を組み、順序よく実行し、結果を確認することの障害です。たとえば、複数の料理を同時に作れない、洗濯の手順が続かないなどがみられます。

視空間認知障害は、物の位置、距離、方向、空間の広がりを把握しにくくなる状態です。今日の日付がわからないのは、主に時間の見当識障害に関係します。

病識低下は、自分の病気や障害、生活上の困難を自覚しにくい状態です。うつ状態は、むしろ自分の変化を自覚して不安や喪失感が強い場合などにも生じるため、「病識低下によってうつになりやすい」とは一律にいえません。

ひっかけポイント
「日付がわからない」は時間の見当識障害、「道や自宅の場所がわからない」は場所の見当識障害や地誌的な認知の障害、「顔を見ても誰かわからない」は相貌失認です。

介護実践でのポイント
家族を認識できない人に「誰かわかりますか」と試すのではなく、近づく前に名乗り、関係を短く説明します。顔以外の手がかりを活用し、驚かせないよう正面から穏やかに声をかけます。

選択肢の確認

1.遂行機能障害により、自宅がわからない。
誤り。
遂行機能障害は、計画を立てて手順どおりに行動することの障害です。自宅の場所がわからなくなることは、場所の見当識障害や地誌的な認知の障害などと関連します。

2.記憶障害により、出された食事を食べない。
誤り。
記憶障害では、食事をしたことを忘れるなどがみられます。出された食事を食べない場合は、食物を認識できない、動作を始められない、食欲がない、痛みがあるなど、ほかの要因も考える必要があります。

3.相貌失認により、目の前の家族がわからない。
正答。最も適切です。
相貌失認では、よく知っている家族であっても、顔の視覚情報だけでは誰かを認識できないことがあります。

4.視空間認知障害により、今日の日付がわからない。
誤り。
視空間認知障害は、位置、距離、方向などの空間関係を把握する障害です。日付がわからないのは、時間の見当識障害に該当します。

5.病識低下により、うつ状態になりやすい。
誤り。
病識低下は、自分の障害を自覚しにくい状態です。うつ状態には多くの要因が関与し、自分の変化を自覚している人に喪失感や不安が強く生じることもあります。

覚えるポイント

相貌失認は、顔を見ても誰かを認識しにくい状態です。

遂行機能障害は、計画、手順、実行、確認の障害です。

視空間認知障害は、位置、距離、方向などを把握する障害です。

日付や時刻がわからない状態は、時間の見当識障害です。

生活上の行動を一つの症状だけで決めつけず、身体、心理、環境の要因を確認します。

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