36Q21|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
Fさん(82歳、女性)は、健康診断で骨粗鬆症{こつそしょうしょう}(osteoporosis)と診断され、内服治療が開始された。杖歩行{つえほこう}で時々ふらつくが、ゆっくりと自立歩行することができる。昼間は自室にこもり、ベッドで横になっていることが多い。リハビリテーションとして週3日歩行訓練を行い、食事は普通食を毎食8割以上摂取している。 Fさんの骨粗鬆症{こつそしょうしょう}(osteoporosis)の進行を予防するための支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 3
正答
3.日光浴を日課に取り入れる。
この問題のポイント
骨粗鬆症の進行予防では、薬物治療に加えて、カルシウムやビタミンDを含む食事、骨に適度な刺激を与える運動、日光浴、転倒予防を組み合わせます。
Fさんは自立歩行ができる一方、昼間はベッドで横になっていることが多いため、安全に配慮しながら日光に当たる機会を生活に取り入れることが適切です。
解説
骨粗鬆症は、骨の量や質が低下して、骨折しやすくなる状態です。高齢者では、転倒をきっかけに大腿骨近位部や脊椎などを骨折すると、移動能力や生活の自立度が大きく低下することがあります。
ビタミンDは、腸管からのカルシウム吸収を助け、骨の維持に関わります。ビタミンDは食事から摂取できるほか、皮膚が日光に含まれる紫外線を受けることでも体内でつくられます。そのため、無理のない範囲で日光浴を生活に取り入れることは、骨粗鬆症の進行予防に役立ちます。
Fさんは杖を使いながらも自分で歩くことができます。歩行訓練を継続し、残っている移動能力を活用することも重要です。日光浴を行うときは、転倒しにくい場所や時間帯を選び、気温、体調、脱水、皮膚の状態、服薬状況などにも配慮します。長時間の日光曝露を一律に勧めるのではなく、本人の希望と安全を確認して実施します。
また、治療薬を自己判断で中止せず、食事ではカルシウム、ビタミンD、たんぱく質などを偏りなく摂取できるようにします。住環境を整え、ふらつきや転倒の危険を減らすことも骨折予防には欠かせません。
ひっかけポイント
骨粗鬆症の予防は、安静にして骨を守ることではありません。過度な安静は筋力や骨への刺激を減らし、転倒しやすさを高めることがあります。
介護実践でのポイント
「日光浴だけで十分」と考えず、治療の継続、栄養、適度な運動、転倒予防を組み合わせます。Fさんができる歩行を奪わず、安全に続けられる方法を多職種と検討します。
選択肢の確認
1.リハビリテーションを週1日に変更する。
適切ではありません。
現在の週3日の歩行訓練を、根拠なく週1日に減らすと、骨への荷重刺激や筋力、バランス能力が低下する可能性があります。体調や医療職の評価を踏まえて調整する必要はありますが、骨粗鬆症の進行予防を目的に活動量を減らす対応ではありません。
2.繊維質の多い食事を勧める。
適切ではありません。
食物繊維は便通や腸内環境の維持に役立ちますが、骨粗鬆症の進行予防で特に重視される栄養素は、カルシウム、ビタミンD、たんぱく質などです。食物繊維だけを増やすことが、この問題で求められる支援ではありません。
3.日光浴を日課に取り入れる。
正答。最も適切です。
日光を受けることで皮膚でのビタミンDの生成が促され、カルシウムの吸収や骨の維持を支えます。Fさんの体調と転倒リスクに配慮し、無理のない方法で生活に取り入れます。
4.車いすでの移動に変更する。
適切ではありません。
Fさんはゆっくりであれば自立歩行が可能です。ふらつきへの対策は必要ですが、一律に車いすへ変更すると、残存機能を使う機会が減り、筋力低下や活動量低下につながるおそれがあります。杖、見守り、環境整備などで安全を高めることを先に検討します。
5.ビタミンA(vitamin A)の摂取を勧める。
適切ではありません。
ビタミンAは視覚や皮膚、粘膜などの維持に関わりますが、骨粗鬆症の進行予防として特に勧める栄養素ではありません。骨の健康では、カルシウムやビタミンDなどを中心に、偏りのない食事を考えます。
覚えるポイント
骨粗鬆症の進行予防は、治療、栄養、日光浴、適度な運動、転倒予防を組み合わせます。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、日光を受けることでも体内でつくられます。
歩ける人を一律に車いすへ変更せず、残存機能を安全に活用します。
ふらつきがある場合は、活動を奪うのではなく、杖、見守り、履物、動線などを調整して転倒を予防します。