34Q98|第34回 介護福祉士国家試験 過去問
Lさん(87歳、男性、要介護1)は、冷房が嫌いで、部屋にエアコンはない。ある夏の日の午後、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると、厚手の布団を掛けて眠っていた。布団を取ると大量の発汗があり、体温を測定すると38.5℃であった。朝から水分しか摂取していないという。前から不眠があり、この5日間便秘が続いていたが、食欲はあったとのことである。 次のうち、体温が上昇した原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 1
正答
1.布団
この問題のポイント
暑い室内で厚手の布団を掛けると、体表からの熱放散が妨げられ、布団の中に熱と湿気がこもります。発汗による気化熱も利用しにくくなり、体内に熱が蓄積して体温が上昇します。
解説
体温は、体内で作られる熱と、放射・対流・伝導・発汗によって体外へ逃がす熱とのバランスで保たれています。暑い環境では皮膚の血流を増やし、汗を蒸発させることで体温を下げます。
Lさんの部屋にはエアコンがなく、夏の午後で室温が高かったと考えられます。その状態で厚手の布団を掛けていたため、皮膚から周囲へ逃げる熱が遮られ、布団の中の温度と湿度も上昇します。湿度が高くなると汗が蒸発しにくくなり、発汗による冷却作用も低下します。選択肢の中では、厚手の布団が体温上昇の最も直接的な原因です。
大量の発汗は、上昇した体温を下げようとする身体の反応です。汗が皮膚から蒸発すれば熱を奪いますが、布団の中では蒸発しにくく、さらに水分・塩分を失って脱水が進むおそれがあります。
高齢者は、暑さや口渇を感じにくく、発汗や循環による体温調節能力も低下しています。室内で安静にしているときでも熱中症を起こすため、本人が冷房を好まない場合も、室温と暑さ指数を確認し、風向きや設定温度を調整するなどの工夫が必要です。
この事例では38.5℃の高体温と大量発汗があり、熱中症など緊急性のある状態を疑います。感染症による発熱との鑑別も必要であり、単に布団を取って様子を見るだけでは不十分です。
ひっかけポイント
発汗は体温上昇の「原因」ではなく、体温を下げようとする反応です。ただし、汗が蒸発しない環境では冷却効果が得られず、水分・塩分の喪失だけが進みます。
介護実践でのポイント
すぐに布団を外して涼しい場所へ移し、衣服を緩め、首、脇の下、足の付け根などを冷やします。意識と嚥下が保たれていれば水分・塩分や経口補水液を補給します。反応がおかしい、自力で飲めない、改善しない場合は直ちに救急要請し、冷却を続けます。
選択肢の確認
1.布団
正しいです。
暑い室内で厚手の布団を掛けると熱放散と汗の蒸発が妨げられ、体内に熱がこもって体温が上昇します。
2.発汗
誤りです。
発汗は体温を下げるための反応です。汗の蒸発によって熱を逃がしますが、この事例では布団によって蒸発しにくくなっています。
3.空腹
誤りです。
食事を取っていないことは体力低下などに関係しますが、38.5℃まで体温が上昇した最も直接的な原因ではありません。
4.不眠
誤りです。
不眠は疲労や体調に影響しますが、この場面の急な高体温を直接説明するものではありません。
5.便秘
誤りです。
便秘は腹部膨満や食欲低下などを起こすことがありますが、通常、厚手の布団下で生じた高体温の直接的な原因にはなりません。
覚えるポイント
- 厚い寝具や衣服は、放熱と汗の蒸発を妨げて体温を上昇させる。
- 発汗は体温を下げる反応であり、体温上昇そのものの原因ではない。
- 高齢者は暑さと口渇を感じにくく、室内でも熱中症を起こす。
- 熱中症を疑ったら、涼しい場所への移動、脱衣、身体冷却、水分・塩分補給を行う。
- 意識障害や自力で飲めない状態では、直ちに救急車を要請する。