34Q102|第34回 介護福祉士国家試験 過去問
介護者が効率的かつ安全に介護を行うためのボディメカニクスの原則に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 1
正答
1.支持基底面を広くする。
この問題のポイント
介助者と利用者の双方の安全を守るために、安定した姿勢をつくり、小さな力で動作を支援するボディメカニクスの原則を問う問題です。支持基底面、重心、身体の距離、ねじれ、摩擦の扱いを整理します。
解説
支持基底面とは、両足など、身体を支えて床に接している部分を結んだ範囲です。介助者が足を前後・左右に開いて支持基底面を広くすると、重心がその範囲内に保たれやすくなり、姿勢が安定します。したがって、選択肢1が正答です。
ボディメカニクスでは、介助者の重心を低くし、利用者との距離を近づけ、介助者と利用者の重心を近づけます。腰だけで持ち上げず、膝や股関節を曲げて大きな筋群を使います。また、足先を動作方向へ向け、身体全体で向きを変えることで腰のねじれを防ぎます。
ベッド上で身体を水平に移動させるような場面では、摩擦を小さくすることも重要です。スライディングシートやスライディングボードなどを適切に使用すると、利用者の皮膚へのずれ力と介助者の負担を減らせます。
ただし、ボディメカニクスは「介助者が力任せに持ち上げる技術」ではありません。まず利用者に動作を説明し、本人が使える手足や体幹の力を活かし、必要な部分だけを支援します。立位が困難な場合などは、無理に人力で抱え上げず、移乗用リフトなどの福祉用具を検討します。
ひっかけポイント
安定性を高める基本は「支持基底面は広く、重心は低く、利用者との距離は近く」です。腰をねじる、重心を遠ざける、摩擦を増やすという選択肢は反対の内容です。
介護実践でのポイント
動作前に、利用者の体調、疼痛、麻痺、理解力、足元、ブレーキ、ベッドや車いすの高さを確認します。声をかけて動作のタイミングを合わせ、本人の残存機能と福祉用具を活用します。
選択肢の確認
1.支持基底面を広くする。
正答。最も適切です。
足を前後・左右に開いて支持基底面を広くすると、介助者の姿勢が安定し、転倒や腰部への過大な負担を予防しやすくなります。
2.利用者の重心を遠ざける。
適切ではありません。
利用者を介助者の身体から遠ざけると、てこの作用によって腰などにかかる負担が大きくなります。利用者との距離を近づけ、双方の重心を近づけることが基本です。
3.腰がねじれた姿勢をとる。
適切ではありません。
腰をねじったまま力を加えると、腰部を傷める危険が高まります。足を動かして身体全体の向きを変え、動作方向に正対します。
4.重心を高くする。
適切ではありません。
重心が高いと姿勢が不安定になります。膝や股関節を曲げて重心を低くし、安定した姿勢をとります。
5.移動時の摩擦面を大きくする。
適切ではありません。
水平移動では摩擦が大きいほど必要な力が増え、利用者の皮膚にずれが生じやすくなります。スライディングシートなどを使い、摩擦を小さくする工夫が必要です。
覚えるポイント
ボディメカニクスの基本は、支持基底面を広くし、重心を低くすることです。
利用者との距離を近づけ、腰をねじらず、大きな筋群を使います。
本人の力と福祉用具を活かし、人力での無理な抱え上げを避けます。