35Q25|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
Jさん(82 歳,女性)は,施設に入所している。Jさんは車いすで食堂に来て,箸やスプーンを使って,自分で食事をしている。主食は普通食,おかずは刻み食で全量摂取している。最近,車いすからずり落ちる傾向があり,首が後屈した姿勢で食事をし,むせることが多くなった。Jさんが誤嚥をしないようにするための最初の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 2
正答
2.座位姿勢の調整
この問題のポイント
事例には、「車いすからずり落ちる」「首が後屈している」「むせることが多くなった」という重要な情報があります。
誤嚥予防では、食形態や食器をすぐに変更する前に、まず食べる姿勢が安全に保たれているかを確認します。
解説
安定した座位は、安全な摂食嚥下の基本です。骨盤が後ろに倒れて身体がずり落ちると、体幹が崩れ、首が後屈しやすくなります。首が後屈した姿勢では、食物や水分が気道へ入りやすくなり、嚥下もしにくくなります。
最初に、Jさんの臀部を座面の奥まで入れ、骨盤と体幹を安定させます。足底が床やフットサポートに安定して接地しているか、膝や股関節の位置、テーブルの高さ、身体の傾きも確認します。頭部は無理のない範囲で軽く前屈し、顎を引きやすい姿勢に整えます。
Jさんは箸やスプーンを使って自分で食べ、全量摂取できています。この残存機能を生かしながら、必要な部分だけを支援します。姿勢を整えてもむせが続く、湿った声、呼吸状態の変化、発熱、食事量の低下などがみられる場合は、看護職や言語聴覚士などに報告し、食形態や一口量、食具を含めて再評価します。
ひっかけポイント
「むせるから刻み食をさらに細かくする」とは限りません。刻み食は口腔内でまとまりにくく、状態によっては誤嚥しやすいこともあります。まず姿勢と食べ方を確認し、必要な調整を多職種で検討します。
介護実践でのポイント
食事前に、覚醒状態、呼吸、口腔内、義歯、座位、足底の接地を確認します。食事中は、一口量、ペース、むせ、声の変化、口腔内残留を観察し、異常があれば中止して報告します。
選択肢の確認
1.食事回数の調整
適切ではありません。
食事回数を変えても、車いすでのずり落ちと首の後屈という直接的な誤嚥リスクは改善しません。まず姿勢を整える必要があります。
2.座位姿勢の調整
正答。最も適切です。
骨盤、体幹、足部、頭頸部を安定させ、首の後屈を改善することで、安全に飲み込みやすい姿勢をつくります。事例に示された原因へ最初に対応する方法です。
3.使用食器の変更
適切ではありません。
食器や自助具の変更が必要な場合はありますが、Jさんは箸やスプーンを使って自分で食べています。まず明らかな問題である座位姿勢を調整します。
4.食事の量の調整
適切ではありません。
食事量を減らしても、首の後屈による誤嚥リスクは解消されません。Jさんは全量摂取できているため、最初に姿勢を確認します。
5.食事場所の変更
適切ではありません。
周囲の刺激や環境が食事に影響する場合はありますが、事例では食堂そのものよりも、車いす上のずり落ちと首の後屈が問題です。
覚えるポイント
安全な食事姿勢では、骨盤と体幹を安定させ、足底を支持します。
首の後屈は誤嚥しやすい姿勢であり、無理のない範囲で軽く顎を引けるように整えます。
むせがあるときは、姿勢、食形態、一口量、ペース、覚醒、口腔内残留を総合的に確認します。
本人ができる食事動作を維持し、必要な部分だけを支援します。