77AM10第77回 診療放射線技師国家試験 過去問

診療画像検査学診療画像解剖MR画像

同一腫瘤の腹部超音波像と MR 像を別に示す。 矢印の腫瘤の画像所見から判別できる成分はどれか。

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正解: 3

正答

3

この問題のポイント

この問題では、同一腫瘤の腹部超音波像GRE 法 T1 強調像の in-phase / out-of-phase 像から、腫瘤に含まれる成分を判断します。

ポイントは、MR 像で矢印の腫瘤が out-of-phase 像で信号低下していることです。

out-of-phase 像で信号が低下する代表的な原因は、同じボクセル内に水成分と脂肪成分が混在していることです。

したがって、この腫瘤の画像所見から判別できる成分は脂肪です。

解説

提示画像は、上段が腹部超音波像、下段が同一腫瘤の MR 像です。

MR 像では、GRE 法 T1 強調像の out-of-phase 像in-phase 像が示されています。

この問題で最も重要なのは、矢印で示された肝内腫瘤の信号変化です。

腫瘤は、in-phase 像と比べて out-of-phase 像で信号が低下しています。

これは、腫瘤内に脂肪成分が含まれていることを示す重要な所見です。

out-of-phase 像で信号が低下する理由

水と脂肪は、MRI でわずかに異なる共鳴周波数をもちます。

GRE 法では、撮像タイミングによって水と脂肪の信号が同じ向きにそろう場合と、反対向きになる場合があります。

  • in-phase 像
    水と脂肪の信号が同じ向きになり、信号が保たれやすい。

  • out-of-phase 像
    水と脂肪の信号が反対向きになり、同じボクセル内で互いに打ち消し合う。

このため、同じボクセル内に水と脂肪が混在している組織では、out-of-phase 像で信号が低下します。

この現象を利用して、腫瘤内の脂肪成分を判別できます。

画像でまず見るポイント
in-phase 像と out-of-phase 像が並んでいる場合は、まず矢印部位の信号が out-of-phase 像で低下しているかを確認します。
out-of-phase 像で明らかな信号低下があれば、脂肪成分の存在を考えます。

超音波像との関係

超音波像では、矢印の腫瘤が周囲肝実質よりやや高エコーに描出されています。

高エコー腫瘤では脂肪を含む病変が鑑別に入りますが、超音波像だけで成分を断定するのは難しい場合があります。

この問題では、MR の in-phase / out-of-phase 像で信号低下を確認できるため、脂肪成分と判断できます。

ひっかけポイント

ガス、石灰化、鉄沈着も画像上で低信号や高エコーに見えることがあります。

しかし、out-of-phase 像で信号低下するという所見は、特に脂肪と水が同一ボクセル内に混在する場合に特徴的です。

この問題では、単に黒く見えるかどうかではなく、in-phase と out-of-phase の信号差を見ることが重要です。

選択肢の確認

1.誤り。
ガスは超音波で強い反射や後方のアーチファクトを示すことがあります。

MRI では信号欠損として見えることがありますが、in-phase / out-of-phase の比較で特異的に信号低下を示す成分ではありません。

この画像所見から判別できる成分としては適切ではありません。

2.誤り。
血液は時期によって MRI 信号が変化します。

急性期、亜急性期、慢性期で T1 強調像や T2 強調像の信号は変わりますが、out-of-phase 像での信号低下を根拠に血液成分と判断するわけではありません。

3.正しい。
矢印の腫瘤は、in-phase 像と比べて out-of-phase 像で信号が低下しています。

これは、水と脂肪が同一ボクセル内に混在し、out-of-phase で信号が打ち消されるために起こります。

したがって、この画像所見から判別できる成分は脂肪です。

4.誤り。
鉄分は磁化率効果により、T2 強調像や T2* 強調像で信号低下を示しやすい成分です。

ただし、この問題で示されている in-phase / out-of-phase の信号差は、脂肪成分の判別に用いる所見です。

鉄分を示す所見としては適切ではありません。

5.誤り。
カルシウムは超音波で高エコーや後方音響陰影を示すことがあり、CT では高吸収として確認しやすい成分です。

しかし、out-of-phase 像で信号低下することを根拠にカルシウムと判断するわけではありません。

この画像所見から判別できる成分としては脂肪が適切です。

覚えるポイント

  • in-phase / out-of-phase 像は、脂肪成分の判別に重要。
  • out-of-phase 像で信号低下すれば、同一ボクセル内の水と脂肪の混在を考える。
  • 肝腫瘤で out-of-phase 像の信号低下を認める場合、脂肪を含む腫瘤を疑う。
  • ガス、鉄、カルシウムも低信号や高エコーの原因になるが、out-of-phase 信号低下の代表は脂肪
  • この画像では、矢印の腫瘤が out-of-phase 像で低信号化しており、脂肪成分と判断する。
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