120B20|第120回 医師国家試験 過去問
腰椎穿刺において、穿刺針で貫くことを避けるべきなのはどれか。
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正解: b
正解
b 脊髄
解説
腰椎穿刺では、脳脊髄液を採取するために、くも膜下腔へ穿刺針を進めます。
このとき穿刺針は、皮膚、皮下組織、靱帯、硬膜、くも膜を通過して、くも膜下腔に到達します。
一方、脊髄を穿刺針で貫くことは避けなければなりません。
脊髄損傷を防ぐため、腰椎穿刺は通常、脊髄円錐より下の L3/L4 または L4/L5 の椎間で行います。
なぜ脊髄を避けるのか
成人の脊髄は、通常 L1〜L2 高位付近で脊髄円錐として終わります。
その下方の腰部くも膜下腔には馬尾神経が浮遊しています。
馬尾神経は穿刺針を避けるように動きやすいため、脊髄そのものを刺す危険が低くなります。
そのため、腰椎穿刺では脊髄円錐より下の椎間を選んで穿刺します。
腰椎穿刺で針が通過する構造
正中アプローチでは、一般に次の構造を通過します。
- 皮膚
- 皮下組織
- 棘上靱帯
- 棘間靱帯
- 黄色靱帯
- 硬膜
- くも膜
- くも膜下腔
つまり、硬膜やくも膜はくも膜下腔に到達するために貫く構造です。
しかし、脊髄は穿刺してはいけない構造です。
各選択肢の検討
a 硬膜
誤りです。腰椎穿刺では、くも膜下腔へ到達するために硬膜を貫きます。硬膜穿刺後に脳脊髄液を採取できます。b 脊髄
正しいです。脊髄を穿刺すると神経損傷の危険があるため、必ず避けます。c くも膜
誤りです。くも膜下腔に到達するためには、くも膜を貫く必要があります。d 棘間靱帯
誤りです。正中アプローチでは、棘間靱帯を通過します。e 皮下組織
誤りです。皮膚から刺入するため、皮下組織は通過します。
ひっかけポイント
この問題では、「穿刺針で貫くもの」と「貫いてはいけないもの」を区別する必要があります。
硬膜やくも膜は、名前だけ見ると重要な膜なので避けるべきに見えます。
しかし、腰椎穿刺ではくも膜下腔に入るため、硬膜とくも膜は通過する必要があります。
避けるべきなのは、神経実質である脊髄です。
国試での判断軸
腰椎穿刺の安全性では、穿刺部位が重要です。
- 成人では、脊髄円錐はおおむね L1〜L2 付近で終わります。
- 腰椎穿刺は、通常 L3/L4 または L4/L5 で行います。
- 目的は、脊髄そのものではなく、くも膜下腔の脳脊髄液に到達することです。
覚えるポイント
- 腰椎穿刺では、脊髄を貫いてはいけません。
- 硬膜とくも膜は、くも膜下腔に到達するために貫きます。
- 穿刺部位は、脊髄円錐より下の L3/L4 または L4/L5 が基本です。
- 「硬膜は避ける」と考えず、硬膜穿刺で髄液腔に入ると整理します。