33PM113|第33回 柔道整復師国家試験 過去問
20歳の男性。体操部に所属している。つり輪の練習中に左肩部に痛みを自覚した。肩関節の挙上は違和感はあるが可能である。肩前方の短軸超音波画像を別に示す。考えられるのはどれか。

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正解: 1
正答
1
この問題のポイント
この問題では、肩前方の短軸超音波画像から、上腕二頭筋長頭腱炎を判断します。
画像は、左が患側、右が健側です。肩前方の短軸像では、上腕骨の大結節と小結節の間にある結節間溝を確認し、その中を走る上腕二頭筋長頭腱を見ます。
患側では、健側と比べて結節間溝内の上腕二頭筋長頭腱周囲に低エコー域が目立ちます。これは腱周囲の炎症や液体貯留を示す所見として考えられ、上腕二頭筋長頭腱炎に合います。
解説
上腕二頭筋長頭腱は、肩甲骨の関節上結節付近から始まり、肩関節内を通って上腕骨前面の結節間溝を走行します。肩の前方痛を起こす代表的な腱の一つです。
体操のつり輪では、肩関節に牽引力、回旋力、反復負荷が加わります。特に肩前方へ負担がかかる動作では、上腕二頭筋長頭腱に炎症が生じることがあります。
短軸超音波画像では、結節間溝の中にある腱を輪切りで観察します。正常では、腱は結節間溝内に収まり、周囲の液体貯留は目立ちません。
この画像では、患側の結節間溝内で上腕二頭筋長頭腱周囲に低エコー域がみられます。健側と比較すると、患側で腱周囲の変化が目立つため、上腕二頭筋長頭腱炎を考えます。
バンカート損傷やヒル・サックス損傷は、肩関節前方脱臼に関連する関節唇損傷や骨頭陥凹骨折です。ベネット損傷は投球障害肩でみられる肩甲骨関節窩後下方の骨性変化として整理します。これらは、この肩前方短軸超音波像でまず考える病態ではありません。
図で見るポイント
まず結節間溝を探します。次に、溝内の上腕二頭筋長頭腱の位置、腱の肥厚、腱周囲の低エコー域、健側との差を確認します。患側と健側を並べて比較すると判断しやすくなります。
鑑別のポイント
肩前方痛では、上腕二頭筋長頭腱炎、SLAP損傷、肩関節不安定症、腱板損傷などを考えます。超音波で結節間溝内の腱周囲変化が目立つ場合は、上腕二頭筋長頭腱炎を優先します。
選択肢の確認
1.上腕二頭筋長頭腱炎
正しい。
上腕二頭筋長頭腱は肩前方の結節間溝を走行します。画像では患側の結節間溝内で腱周囲の低エコー域が目立ち、健側との差も確認できます。つり輪による反復負荷、肩前方痛、短軸超音波所見から、上腕二頭筋長頭腱炎が考えられます。
2.ベネット(Bennett)損傷
誤り。
ベネット損傷は、投球動作の反復により肩甲骨関節窩後下方に骨棘性変化を生じる障害として扱われます。肩前方の結節間溝にある上腕二頭筋長頭腱周囲の所見を説明する病態ではありません。
3.バンカート(Bankart)損傷
誤り。
バンカート損傷は、肩関節前方脱臼に伴う前下方関節唇損傷です。脱臼歴、不安定感、外転外旋位での不安感などが重要です。この症例では肩前方短軸超音波で上腕二頭筋長頭腱周囲の変化をみており、バンカート損傷より上腕二頭筋長頭腱炎が適切です。
4.ヒル・サックス(Hill-Sachs)損傷
誤り。
ヒル・サックス損傷は、肩関節前方脱臼に伴って上腕骨頭後外側に生じる陥凹骨折です。結節間溝内の腱周囲変化を示す肩前方短軸超音波像とは病態が異なります。
覚えるポイント
- 上腕二頭筋長頭腱は、肩前方の結節間溝を走ります。
- 肩前方痛と結節間溝部の圧痛、超音波での腱周囲低エコー域は上腕二頭筋長頭腱炎を疑います。
- 超音波では、患側と健側を比較して腱の位置、肥厚、腱周囲液体貯留を確認します。
- バンカート損傷とヒル・サックス損傷は、肩関節前方脱臼に関連する損傷です。
- ベネット損傷は投球障害肩でみられる後下方関節窩の骨性変化として整理します。
