119D051第119回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床口腔外科学

75 歳の女性。下顎左側大臼歯部の腫脹を主訴として来院した。半年前から自覚 していたが、疼痛がないためそのままにしていたという。粘膜の色に異常は認めな い。既往歴として15 年前に乳癌の治療を受け、現在は経過観察中である。初診時 のエックス線画像(別冊No. 12A)とCT(別冊No. 12B)を別に示す。 最も疑われるのはどれか。1 つ選べ。

119D051の問題画像
解答・解説を見る

正解: d

正答

d

この問題のポイント

高齢者の下顎大臼歯部に生じた無痛性で緩徐な顎骨病変では、画像所見と合わせて歯原性角化囊胞が最も疑われます。乳癌既往があっても、直ちに転移と決め付けません。

解説

歯原性角化囊胞は、顎骨内、とくに下顎大臼歯部から下顎枝に好発し、比較的前後方向へ進展します。大きくても頰舌的膨隆が少ないことがあり、無痛性に発見される例があります。

診断では病変の境界、単房性・多房性、歯との関係、皮質骨の状態を画像で確認し、最終的には病理組織学的に確定します。再発率が比較的高いため、治療後の長期経過観察が重要です。

乳癌の既往は転移性腫瘍の鑑別上重要ですが、既往だけで転移と判断せず、画像・病理・全身検索を統合します。

画像の確認

実画像Aでは下顎左側大臼歯部から下顎枝にかけて境界明瞭で広い透過性病変があり、Bでは皮質骨を菲薄化させつつ前後方向へ進展している。境界不明瞭な転移性骨破壊ではなく、顎骨内を大きく伸展する歯原性角化囊胞の像に合致する。

選択肢の確認

a.歯根囊胞
本症例では第一に疑いません。
歯根囊胞は失活歯の根尖部に生じる炎症性歯原性囊胞で、歯髄状態と根尖との連続性が重要です。本症例の第一候補ではありません。

b.顎骨骨髄炎
本症例では第一に疑いません。
顎骨骨髄炎では疼痛、感染源、骨硬化・骨破壊、腐骨などを検討しますが、無痛性で緩徐に増大する本症例の第一候補ではありません。

c.単純性骨囊胞
本症例では第一に疑いません。
単純性骨囊胞は若年者の下顎に多く、歯根間へ入り込む像などが手掛かりです。75歳という年齢からは典型的ではありません。

d.歯原性角化囊胞
正答。最も疑われます。
下顎大臼歯部に好発し、無痛性に前後方向へ進展する歯原性角化囊胞が最も疑われます。

e.乳癌の顎骨転移
本症例では第一に疑いません。
乳癌の顎骨転移は鑑別に必要ですが、既往だけでは確定できず、本問の画像所見に基づく最も疑われる病変ではありません。

覚えるポイント

  • 歯原性角化囊胞は下顎大臼歯部から下顎枝に好発します。
  • 頰舌的膨隆が少ないまま前後方向へ進展することがあります。
  • 悪性腫瘍既往があっても画像・病理で鑑別します。

関連問題

119D050119D052
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)