119C044|第119回 歯科医師国家試験 過去問
77 歳の女性。閉口不能を主訴として来院した。5 年前に脳梗塞を発症し、以来 介護施設に入所している。6 か月前から閉口が困難となり、摂食量が減少し、会話 も少なくなっていたという。初診時のエックス線画像(別冊No. 13)を別に示す。 適切な治療法はどれか。1 つ選べ。

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正解: b
正答
b
この問題のポイント
6か月に及ぶ閉口不能は陳旧性顎関節脱臼を考え、非観血的整復が困難なため顎関節開放手術が適します。
解説
急性の顎関節前方脱臼では、まず徒手整復を行います。しかし長期間放置された陳旧性脱臼では、関節包や周囲軟組織の拘縮、関節構造の変化が進み、保存的整復が困難になります。
摂食量減少や会話低下があるため、全身状態と介護状況も踏まえ、開放手術による整復や必要な関節形成を検討します。
画像の確認
実画像のパノラマ像では口が大きく開いたまま左右下顎頭が関節結節より前方に位置し、慢性の両側顎関節前方脱臼を示す。6か月に及ぶ陳旧例では非観血的整復法だけでは困難で、顎関節開放手術の適応となる。
選択肢の確認
a.スプリント療法
適応が異なります。
スプリント療法は顎関節症の疼痛や筋症状などに用いますが、陳旧性脱臼による閉口不能を整復できません。
b.顎関節開放手術
正答。最も適切です。
長期間経過した陳旧性顎関節脱臼では、開放手術による整復が必要になります。
c.関節鏡視下授動術
適応が異なります。
関節鏡視下授動術は癒着やクローズドロックなどに用いますが、陳旧性前方脱臼の根本的整復としては不十分です。
d.関節腔内洗浄療法
適応が異なります。
関節腔内洗浄療法は関節痛や復位を伴わない円板転位などに用い、閉口不能を伴う陳旧性脱臼には適しません。
e.パンピングマニピュレーション
この段階では適切ではありません。
パンピングマニピュレーションは保存的な関節腔操作であり、6か月経過した脱臼の整復は困難です。
覚えるポイント
- 急性脱臼は徒手整復、陳旧性脱臼は手術を検討します。
- 閉口不能と経過期間が治療選択の鍵です。
- 洗浄療法は主に顎関節症の関節内病態に用います。