119A075|第119回 歯科医師国家試験 過去問
基礎歯科医学口腔解剖・組織・発生
上顎右側小臼歯部と同側の側頭部に持続性の鈍痛を訴える患者が来院した。診察 の結果、歯に異常所見を認めなかった。触診の際に、側頭部を圧迫すると歯痛が増 強した。そこで、圧痛点に局所麻酔を施したところ、小臼歯部の鈍痛が減弱した。 この歯痛はどれか。1 つ選べ。
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正解: a
正答
a
この問題のポイント
側頭筋の圧痛点から上顎小臼歯部へ投射される痛みは、疼痛部位と原因部位が異なる関連痛です。
解説
本症例では歯に異常所見がなく、側頭部を圧迫すると歯痛が増強し、側頭部の圧痛点へ局所麻酔をすると歯痛が軽減しています。これは側頭筋などの筋・筋膜性疼痛が同じ三叉神経系を介して歯へ投射される所見です。
歯科では咀嚼筋由来の関連痛を歯髄炎と誤診し、不要な歯内療法を行わないことが重要です。筋の触診、開口運動、咬合習癖、圧痛再現を確認します。
選択肢の確認
a.関連痛
正しい。
原因は側頭部の筋性圧痛点にあり、痛みは上顎小臼歯部に感じられているため関連痛です。
b.歯原性歯痛
誤り。
歯原性歯痛であれば歯髄・歯周組織に対応する所見がみられ、側頭筋への局所麻酔だけで歯痛が軽減する説明が困難です。
c.心因性疼痛
誤り。
心因性疼痛は心理社会的要因が強く関与しますが、本症例では圧痛点刺激による再現と局所麻酔による消失という身体的関連が明確です。
d.神経障害性疼痛
誤り。
神経障害性疼痛では灼熱痛、電撃痛、アロディニア、感覚異常などがみられます。本症例は筋圧痛点に由来する投射痛です。
e.特発性〈非定型〉歯痛
誤り。
特発性〈非定型〉歯痛は明確な原因が同定できない持続痛ですが、本症例では側頭部圧痛点が原因として示されています。
覚えるポイント
- 関連痛は原因部位と自覚する疼痛部位が異なります。
- 咀嚼筋のトリガーポイントは歯痛を生じることがあります。
- 歯に客観的異常がない場合、筋・関節・神経由来疼痛を鑑別します。