118B043|第118回 歯科医師国家試験 過去問
81 歳の男性。食事後にむせることを主訴として来院した。1 年前から自覚して いたが、そのままにしていたという。3 年前に胃食道逆流症の診断を受けて、現在 経過観察中である。リハビリテーション科に依頼して行った嚥下造影検査における 硫酸バリウム溶液の嚥下1 分後の画像(別冊No. 13)を別に示す。リハビリテーショ ン科からは、口腔と咽頭内に造影剤の残渣は認められないものの、食道内には明ら かな停滞が認められたとの報告を受けている。 患者への指導で適切なのはどれか。1 つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
嚥下造影で口腔・咽頭残留がなく、食道内停滞が明らかな場合は、口腔咽頭期ではなく食道期と胃食道逆流への対応を考えます。
解説
本症例では、造影剤が口腔や咽頭に残っていないため、咽頭残留を改善する訓練やとろみ付与が主な対応ではありません。食道内停滞と胃食道逆流症の既往があり、食後すぐに横になると逆流が起こりやすくなります。
食後は上体を起こして過ごし、就寝直前の食事を避けるなどの生活指導が重要です。必要に応じて消化器内科で食道運動や狭窄の評価を受けます。
症例問題の解き方
嚥下障害は口腔期、咽頭期、食道期のどこに問題があるかを先に定位します。
画像の確認
実画像では、嚥下1分後にも胸部正面像の食道内へ造影剤が縦長に停滞している。食後の逆流を避けるため直ちに臥位を取らないよう指導する正答dを支える。
選択肢の確認
a.頭部挙上訓練を行う。
誤り。
頭部挙上訓練は舌骨上筋群を強化し、食道入口部開大を改善する目的で用います。本症例では食道内停滞が主で、第一の指導ではありません。
b.液体にはとろみをつける。
誤り。
とろみは液体の咽頭流入速度を遅くし、誤嚥リスクを下げる方法です。口腔・咽頭残留がない本症例では適応が異なります。
c.濃い味の食品摂取を避ける。
誤り。
濃い味を避けることは食道内停滞や胃食道逆流に対する中心的な指導ではありません。
d.食事後すぐに横にならない。
正答。最も適切です。
食後すぐに横になると胃内容物が食道へ逆流しやすくなるため、食後は上体を起こして過ごします。
e.嚥下時には頸部後屈を心がける。
誤り。
頸部後屈は食塊を咽頭へ送り込みやすくしますが、誤嚥リスクを高める場合があり、本症例の食道停滞を改善しません。
覚えるポイント
- 嚥下造影では障害部位を口腔期・咽頭期・食道期に分けます。
- 食道内停滞と逆流では食後すぐ横にならないよう指導します。
- とろみ付与は主に咽頭期の液体誤嚥リスクに対して用います。